2021年1月6日、日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)は、福島県、静岡県、および東京都内において、ドローンを用いた空を情報伝達媒体にする実証実験を実施(2020年11月~12月)したことを発表した。各種ドローンを用いて、様々なサイズの旗を空中で曳航(えいこう)することで、イベントでのプロモーション等の利用だけでなく、人や車が立ち入りにくい場所での災害時の避難誘導などでの将来的な活用が可能となる。

富士山を背景にしたドローン飛行
東京スカイツリーを背景にしたドローン飛行

 近年、様々な分野にてドローンの社会実装へのニーズが高まっており、ユースケースに基づいた法整備や技術開発が進んでいる。今回の実証実験の目的は、空という広大な空間を活かし、不特定多数の人に対して視覚的に情報を発信するドローンソリューションの実現可能性の検証である。
 実際の空中での実験前には、人工的に風を発生させる施設にて風洞実験を行い、旗を曳航する時にドローンにかかる負荷を算出した。この風洞実験を通して、各種ドローンが、どのくらいの風力下で、どのくらいの大きさの旗を曳航できるのかシミュレーションすることができ、環境や目的に合わせた最適な組み合わせを実証している。また、旗端にさまざまな工夫を行うことで単純に曳航するよりも視認性を上げる独自技術の実証も行い、あらゆる環境における視認性向上を図っている。

 このソリューションが将来的に実用化されることで、サイレンやスマートフォン等によるアラートだけでなく、ドローンによる視覚的にもインパクトの大きい手法による災害時の広域周知の実現や、エンターテインメント、プロモーションにおける表現の可能性が広がることが期待できる。また、5G通信技術と組み合わせることで、危険地帯から離れた場所など遠隔地からのドローン操縦を実現できるなど、災害時を含めた広い用途での社会課題の解決につながるという。

 NSSOLは、早くからローカル5Gの実地適用に向けた取り組みを行っている。2019年12月には、NTTドコモの「ドコモ5Gオープンラボ」において、飛行艇ドローンを用いた通信エリア品質調査ソリューションの実証実験を行う(※)など、新しい技術の検証を積極的に行っている。

2019年12月5日「NSSOL、飛行艇ドローンでの通信エリア品質調査ソリューションの実証実験を実施 ~5Gビジネス創出と社会課題の解決に向けた「ドコモ5Gオープンラボ」に参画~」https://www.nssol.nipponsteel.com/press/2019/20191205_110000.html

旗の回収作業

実験に使用したドローンの有効荷重
大:ペイロード10Kg
中:ペイロード6Kg
小:ペイロード400g

実験に使用した旗のサイズ
形状:正方形
1辺の長さ:4.7m、4.0m、2.7m、2.3m、1.9m、1.0m

実証実験の協力会社
・株式会社スペースエンターテインメントラボラトリー
 航空宇宙技術をコアとしたテクノロジーカンパニー。固定翼ドローンやマルチコプター、高高度気球、人工衛星まで様々な飛行ロボットの開発と運用を行う。http://www.selab.jp/jp.html