2020年12月15日、DJIは新製品「Mavic 2 Enterprise Advanced」を発表した。重要かつ複雑な作業でドローンを使用する顧客向けに作業効率改善を目的として設計され、前モデルから引き継いだ性能は大きくアップグレードしている。最先端のサーマルカメラとRGBカメラ、32倍デジタルズームを搭載し、RTKモジュールによりcmレベルの測位精度を実現する。

 「私達は、業務用ドローンの利用者がMavic 2 Enterpriseを工業分野での点検で頻繁に使用していることに気が付きました。そのような点検では、サーマルセンサーやビジョンセンサーの高い精度や解像度が、業務遂行に不可欠です。主要機能をアップグレードさせたことにより、Mavic 2 Enterprise Advancedは、複雑な検査において理想的かつ必須ツールとなりました。点検担当者は、欠陥や異常をより詳細に特定することができ、効率的に作業やメンテナンスを行えるようになります。また、ファーストレスポンダーや消防隊は迅速に被害者の位置を把握し、ホットスポットを特定、火災のリスクを確認してから、人員の安全も確保しながら最適な救助プランを作成できます」と、DJIコーポレートストラテジー&コミュニケーションシニアディレクターChristina Zhang氏は述べている。

進化したセンサーによる映像技術

 640×512ピクセルのHD解像度サーマルカメラと、1/2インチCMOSセンサーを搭載した48MPビジュアルカメラを特徴とした進化したデュアルセンサーにより、現場の対象物を迅速に把握し、情報に基づいた意思決定を下すことができる。サーマルカメラは、30Hzフレームレートと±2°Cの温度測定精度に対応。パイロットはプロジェクトのニーズによって、ビジュアル、サーマル、分割ビューに切り替えてフィードを確認することができる。安全な距離を保ちながらHD画像や4K動画を撮影でき、高解像度カメラセンサーは32倍デジタルズームと16倍サーマルズームに対応しているため、オペレーターは対象物を細部まで確認することができる。

その他の機能

・スポットメーター :対象物の平均温度を表示。パイロットは安全な距離を保ちながら、重要または危険な対象物を監視し測定することができる。

・エリア測定 :平均温度/最低温度/最高温度をそれぞれのエリアに一致する位置で表示。対象物が過熱しているかどうかを判断できる。

cmレベルの測位システム

 DJI Mavic 2 Enterprise Advancedは、DJI RTKモジュール(別売)を搭載することでcmレベルの精度を実現する。また、NTRIP(インターネットを介してDGPSデータを配信するためのプロトコル)に対応し、簡易点検も可能である。オペレーターは最大240個のウェイポイント(経由点)を作成でき、複雑な環境でも自動で綿密な点検を行える。また、軽量かつ携帯性にも優れており、1分以内にセットアップして離陸が可能。上昇下降速度が高速化され、複雑な作業環境でも効率的に業務を行うことができる。

向上した飛行安全性とデータセキュリティ

 Mavic 2 Enterprise Advancedは、DJI Enterprise製品に特化された様々なデータ保護機能を備えているため、機密性の高いフライト中に生成された写真、動画、フライトログ、その他のデータの完全性を保護することができる。DJI Pilotアプリで操作する場合、Mavic 2 Enterprise Advancedはデータを保護する機能の1つとして、ローカルデータモードを備えている。機体とリモートコントローラ間の無線リンクは、AES-256方式で暗号化される。

 24GBのオンボードデータストレージとパスワード保護機能は、機体とその搭載データストレージのセキュリティを強化し、機体の物理的破損からもデータを保護する。

 飛行機やヘリコプターからのADS-B信号を受信し、近くの航空交通をドローンパイロットに警告するDJIのAirSense(※1)システムと、6方向の障害物検知機能(※2)が搭載されている。また、LEDナビゲーションライトを無効にしたディスクリートモードでの飛行、さらに寒冷地での運航時(マイナス10°Cまで)には自己加熱式バッテリーを利用することが可能である。

 Mavic 2 Enterprise Advancedの最大飛行時間は31分、最大飛行速度は72km/h。DJIの動画およびデータ伝送システムであるOcusync 2.0を搭載し、伝送距離は最大10km(※3)で、安定したドローンと送信機間の接続を実現する。このシステムは耐干渉性も高く、2.4GHzおよび5.8GHzの両周波数帯に対応している。自動切替にも対応し、アップリンクとダウンリンクのデータストリームに異なる周波数を利用することも可能である(日本国内は2.4GHzのみ利用可能)。

※1 アラートシステムであるDJI AirSenseは、ADS-B(放送型自動位置情報伝送・監視機能)を使用し、ドローンパイロットの状況認識をサポートするとともに飛行中に重要な決断を下す手助けを行う。

※2 6方向障害物検知では、左右のセンサーはトライポッドモードでのみ有効。

※3 最大伝送距離は、障害物や電波干渉がなくFCCに準拠している場合(日本国内は6km)。最大飛行距離の仕様は、無線の接続強度とレジリエンス(復元力)を踏まえた概測になる。

同梱アクセサリー

・スポットライト :輝度2,400ルーメンのスポットライトが、夜間や低照度環境下、霧や煙などの照度が十分でない日中に行う作業をサポート。

・スピーカー :最大出力音量100dB(距離1m)の拡声スピーカーは、複数の音声録音を保存、またその音声をループ再生することができるため、緊急時に地上チームとのコミュニケーションを可能にする。

・ビーコン :米国連邦航空局(FAA)の夜間の適用免除基準を基に設計されたビーコンは、4.8km先からでも目視可能な明るいストロボライトを搭載。パイロットは、低照度環境下や夜間でも安全に業務を遂行でき、また近くを飛行するドローンや航空機に対しても注意喚起することができる。

・DJIスマート送信機 :5.5インチ1080pの超高輝度ディスプレイを搭載し、直射日光の下でもクリアな視認性。

価格・販売時期

販売価格 :未定
販売時期 :2021年4月以降供給予定
DJI Enterprise正規販売代理店 https://www.dji.com/where-to-buy/enterprise-dealers

▼DJI Mavic 2 Enterprise Advanced
https://www.dji.com/mavic-2-enterprise-advanced