2020年10月20日、関西電力は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)が行う「風車運用・維持管理技術高度化研究開発(※1)」に係る公募において「無人航空機(UAV)とAI画像解析の活用による風車の高度な次世代型運用・維持管理技術開発」が選定され、開発助成先として助成金の交付が決定したことを発表した。

 洋上風力発電は、エネルギーセキュリティや地球温暖化対策の観点から重要なエネルギーであり、将来的には市場の拡大が予想される分野であるという。一方で、洋上風力発電の実用化にあたっては、高コストが課題の一つとなっている。洋上設備の場合、基本的に専用船舶を用いた点検作業等が発生するため、維持管理において陸上風力発電と比較して多くの費用が必要となる。また、落雷等が原因で緊急停止した際には、天候によっては風車へのアクセスが制限され、点検・復旧までに時間がかかるため、風車停止中の発電の損失も発生する。

 本研究開発では、風車発電設備の緊急発電停止後の臨時点検や定期点検において、ドローンおよびAIを用いた画像解析技術を活用することにより運用・維持管理の迅速化・効率化を図り、さらには発生電量増加、点検コスト削減を達成し、日本のエネルギーミックスの実現に貢献することを目指す、としている。

※1 国内洋上風力発電所における発電・運転維持コストの低減に繋げる研究開発への助成事業

「風車運用・維持管理技術高度化研究開発」について

実施主体 :NEDO
対象 :企業(団体などを含む)、大学
事業期間 :2020年から2022年度までの3年間(3年間以内)
助成内容 :NEDOが選定した事業者に助成金を交付(助成額:2020年度は年間2億5千万円以内)

研究開発の概要

 洋上風力発電設備を対象に、落雷等の原因による緊急発電停止(保安停止)後のドローンによる外観全体確認および損傷箇所のAIを用いた画像解析による損傷判定等の技術を開発し、迅速化・効率化・安定化を実現する風車の高度な次世代型運用・維持管理技術を確立する。

研究のイメージ