2020年10月19日、遠隔操縦無人機(RPA)システムの大手メーカー米ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(以下GA-ASI)は、アジア航測と協業し、青森県八戸市においてGA-ASI製の遠隔操縦無人機「MQ-9B SeaGuardian」(以下シーガーディアン)を用いた海上保安庁向けの飛行実証を開始したことを発表した。

 GA-ASI最高経営責任者のリンデン・ブルー氏は次のように述べている。「日本の海域において、シーガーディアンがどの程度の費用対効果のある滞空型監視手段であるかの実証で今回試験運用いただく海上保安庁様、また飛行実証に支援いただくアジア航測様に心より感謝しております。GA-ASIのRPAシステムは複数のセンサーからの情報を相関的に分析する事で船舶の異常を識別し、効果的で持続的な海洋監視を実現します」。

 今回のシーガーディアンの飛行実証では、海上での救助や取締りなどを含む海上保安業務において、遠隔操縦無人機の有効性を検証する。これは2018年の長崎県沖合並びに2019年にエーゲ海で実施したデモフライトに続くもので、大きなマイルストーンになるという。使用されるシーガーディアンは全天候に対応し、民間の国内および国際空域での運用が可能である。

 シーガーディアンのシステムには、マルチモードの海洋表面探査レーダー、逆合成開口レーダー(ISAR)、船舶自動識別装置(AIS)、光学・赤外線HDビデオカメラなどが装備されている。これらのセンサーを活用することで、数千平方海里にわたる範囲でリアルタイムでの船舶の探知・識別が可能になる。また、レイセオン製のSeaVue海洋表面探査レーダーでは水上の目標物の自動追尾のほか、AISとレーダーで探知した目標の相関を算出することができる。

 また、同機は無人航空機における標準化仕様であるNATOの耐空性要件(STANAG-4671)を満たした型式認証を取得している。

GA-ASIについて

 ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)は、ジェネラル・アトミクスの関連会社であり、Predator遠隔操縦無人機(RPA)シリーズやLynxマルチモード・レーダーなど、RPAシステム、レーダー、電気光学および関連するミッションシステムの大手設計・製造メーカーである。Predatorシリーズ全体で600万時間の飛行実績をもつGA-ASIは、状況把握や迅速な対応を可能とする持続飛行に必要な内蔵型センサーやデータリンクシステムを搭載した、耐久性が高く任務遂行が可能な航空機を提供している。また、GA-ASIはさまざまな地上制御ステーションやセンサー制御/画像解析ソフトウェアも製造しており、パイロット研修や支援サービスの提供、メタマテリアル・アンテナの開発も行っている。