2020年4月6日(サンディエゴ 現地時間)、遠隔操縦無人機(RPA)システムの大手メーカー、米ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社(General Atomics Aeronautical Systems, Inc. 以下 GA-ASI)は、米国航空宇宙局(NASA)と共同で、遠隔操縦無人機SkyGuardian(以下スカイガーディアン)のデモフライトを南カリフォルニアで実施したことを発表した。

 GA-ASIとNASAは、全米航空システム(NAS)上で、大型無人航空機の飛行における安全性を実証する取り組み共同で行っている。GA-ASIは、NASAが主導する無人航空機の飛行実証プロジェクトであるSystems Integration and Operationalization(SIO)に参加している。このプロジェクトでは、多種にわたる無人航空機システム(UAS)を用いて様々な環境下でのデモフライトを多数実施している。

 GA-ASIは、スカイガーディアンと独自のセンサー技術を活用した商業・公共サービスにおける実証を進めている。今回のデモフライトでは、数百マイルに及ぶ鉄道・送電・通信・河川インフラの検査、農業向けのモニタリング、地形測量、山火事や洪水時におけるモニタリングを行った。

 GA-ASI最高経営責任者のリンデン・ブルー氏は次のように述べている。「今回のNASAとの共同デモフライトにより、公共・商業サービスにおいて、無人航空機システムを活用することの安全性かつ実用性を、当局ならびに多くの方にご理解いただけたと自負しています。当社の航空機はこれまで、自然災害時の対応において重要な役割を果たしてきました。例えば当社のセンサーを使うと、濃煙の中でも状況把握が可能となります。森林火災の封じ込めにおいては、地上のオペレーションに対して防火帯の位置を知らせることができ、効率的な人員リソースの配置に貢献しています。今回のデモフライトにより、スカイガーディアンが多くの民間・商業的ミッションにどれほど役立つかが実証されました。」

 今回のデモフライトでは、スカイガーディアンはカリフォルニア州パームデール近郊のグレイ・ビュート航空管制施設から離陸し、南カリフォルニアのNASを通過して、アリゾナ州ユマへ向かった。飛行中はグレイ・ビュートに配置された地上パイロットが同機を遠隔操作した。接近する飛行物体に対しては、GA-ASIが開発した検知・衝突回避システム(DAAS)を使用して回避した。このDAASは、民間空域を飛行する有人航空機に用いられている空中衝突防止装置(TCASII)と、接近中の飛行物体をトランスポンダからの反応の有無にかかわらず検知・追跡する機能を備えた空対空レーダーであるDDR(Due Regard Radar)を搭載している。地上のパイロットはこのDAASを使用することにより、有人飛行機のパイロットと同様に周囲の航空交通状況を把握し、操縦することが可能になる。

 NASAアームストロング飛行研究センターにて、無人航空機システム(UAS)とNASへ統合するプロジェクトのプロジェクトマネージャーを務めるマウリシオ・リバス氏は、「今回のデモフライトの成功により、全米領空域における無人航空機システムの活用促進というNASAの目標に一歩近づきました。GA-ASIをはじめとするSIO業界パートナーとの協働により、商業向けにUASが認証されることも遠い将来の話ではなくなってきています」と述べている。

 また、GA-ASIは今回のデモフライトの技術パートナーとして、ハネウェル社(DAAS用TCASII)およびコリンズ・エアロスペース社(CNPCデータリンクラジオ)と提携している。

GA-ASIについて

 ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)は、ジェネラル・アトミクスの関連会社であり、Predator®遠隔操縦航空機(RPA)シリーズやLynx®マルチモード・レーダーなど、信頼性の高いRPAシステム、レーダー、電気光学および関連するミッションシステムの大手設計・製造メーカーである。Predatorシリーズ全体で600万時間の飛行実績のある同社は、状況把握や迅速な対応を可能とする持続的飛行に必要な内蔵型センサーやデータリンクシステムを搭載した、耐久性が高くミッション遂行が可能な航空機を提供している。また、GA-ASIはさまざまな地上制御ステーションやセンサー制御/画像解析ソフトウェアも製造しており、パイロット研修や支援サービスの提供、メタマテリアル・アンテナの開発も行っている。