2020年10月14日、DJIは、測量展示会INTERGEOにて2種類のペイロードソリューション「DJI Zenmuse L1」と「DJI Zenmuse P1」を発表した。 Zenmuse L1は高品質のLiDARデータを取得することができ、Zenmuse P1は地理空間データ収集に特化しており、フルサイズセンサー写真測量を実現する。これらは業務用ドローンのフラッグシップモデルMatrice 300 RTK用に設計され、航空測量分野での活躍が期待される。

DJI Zenmuse L1 – 航空測量向けLiDARソリューション

　航空測量業界では、LiDARテクノロジーが正確な現実モデルを構築する上で重要な役割を果たす。暗い場所や木々が茂った場所など、従来のドローン写真測量法では対応できない場合、LiDARを使用すれば複雑な構造物でも迅速かつ正確な点群モデルを得ることができる。

　Zenmuse L1には、70°FOV、高精度IMUといった特徴を持つ超軽量のLivox製LiDARモジュールが組み込まれ、3軸ジンバルスタビライザーに1インチCMOSセンサーとメカニカルシャッターを備えた20MPカメラが統合されている。リアルタイムでトゥルーカラー点群モデルの生成や、一度の飛行で最大2km 2 の点群データの取得が可能である。毎秒240,000点の点率と190mの測定距離（反射率10%、100klx）により、容易かつスピーディに高品質のLiDARデータを取得することができる。

　このモジュールは、Livoxが開発した独自技術であるラインスキャンモードと非反復ペタルスキャンモードの両方をサポートしている。そのため、短時間で対象領域をカバーし、センサーは決められた平面に沿ってではなく、どの方向でもデータを取得することができる。DJIの業務用ドローンMatrice 300 RTKと測量ソフトウェアDJI Terraを併用すると、1日を通してリアルタイムの3Dデータを取得でき、効率的に複雑な構造の詳細データをキャプチャーして、高精度の再構築モデルを生成する。保護等級はIP44で雨や霧などの悪天候にも耐え、LiDARモジュールのアクティブスキャン方式により暗い低照度環境でも飛行が可能である。

　Livox独自のLiDAR非反復スキャンプロセスにより、センサーはあらゆる方向のデータをキャプチャーすることができ、マッピングへ応用する際に重要な要素となる。Zenmuse L1 LiDARソリューションは、林冠や枝葉の植生も見通すことができるため、農業や林業では、樹冠の幅、植生密度、面積、株の容積、成長傾向などのインサイト情報を活用することができる。緊急対応では、トゥルーカラー点群を使用し重要なインサイト情報を収集。状況をいち早く把握することにより、情報をリアルタイムで取得でき、情報に基づいた意思決定を遂行することができる。また、石油、ガス、鉱業、インフラ整備、通信、電力などハイリスクで危険な資産集約型の環境でも利用できる。

▼ DJI Zenmuse L1 製品情報
https://www.dji.com/zenmuse-l1

DJI Zenmuse P1 - フルサイズセンサー写真測量

　DJI Zenmuse P1は、地理空間データ収集に特化してつくられたカメラペイロード。45MPのフルサイズの低ノイズ高感度センサーを統合し、3軸ジンバルスタビライザー上の24/35/50mm単焦点レンズは交換が可能である。

　地上基準点がない状態でも高い精度（水平3cm／垂直5cm、※1）を実現し、一回の飛行で3km 2 （※1）範囲をカバーできる。

　また、メカニカルシャッターを搭載し、マイクロ秒レベルでモジュール間の時間を同期する刷新されたTimeSync 2.0システムを採用。リアルタイムの位置と方向を補正する技術と組み合わせ、cmレベルでの精度の高いデータを取得できる。

　スマートオブリーク キャプチャー機能は、容易に3Dモデリングに最適なオブリーク撮影が可能。

　2Dオルソモザイク、cmレベルの精度で3Dモデリング用の傾斜画像を必要とする複雑なミッションを実行。細かいテクスチャ・構造・特徴を忠実に再現するために、安全な距離から垂直面または傾斜面の超高解像度画像データを取得、詳細なモデル再構築や地質調査、自然環境遺産の保全、水力工学などに活用できる。DJI Terraを使用して、測量チームは地理情報を計測するリアルタイムでマッピングするミッションに取り組むことも可能である。

※1 DJI自社独自検証

▼ DJI Zenmuse P1 製品情報
https://www.dji.com/zenmuse-p1

価格と販売時期

　DJI Zenmuse L1およびDJI Zenmuse P1の出荷は2021年初頭を予定。先行予約はDJI Enterprise正規代理店で行っている。価格や販売店については、DJI Enterpriseパートナーまで問い合わせを。