2020年9月10日、イームズロボティクスは、東京都立産業技術研究センターと日立システムズとの共同研究で、準天頂衛星みちびきの補正情報を受信でき、かつ4G LTE対応が可能な16L農薬散布機体「エアロスプレーヤーAS16」を開発したことを発表した。なおこの機体は、東京都立産業技術研究センター ロボット産業活性化事業 サービスロボットSIer人材育成事業の採択を受け開発された。

共同研究で開発した大型機体「エアロスプレーヤーAS16」

 従来のGNSS受信機器でも準天頂衛星からの信号は受信可能だが、さらに高精度の位置情報を得るためには準天頂衛星からのL6信号(センチメーター級測位補強信号)を受信・解析し、ドローン本体へフィードバックする必要がある。今回開発された機体は、それらの処理を可能とするユニットを搭載している。

左:準天頂衛星受信アンテナ、右:GNSSアンテナ

 準天頂衛星補正情報利用の利点は、地上側にRTK基地局などの基準局が不要なこと、開始前の測量作業が不要になることである。また、専用SIMを内装し、4G LTE経由で機体パラメーター等の情報を遠隔地で確認が可能になる他、将来的には遠隔地からの指示でドローンを飛行させることも可能となる技術である。さらに、後々普及が期待されている5Gでの利用も視野に入れ今後対応予定であるという。

 機体の散布性能は、液剤を最大16L搭載可能で散布飛行時間は最大20分となっており、一度の飛行で2haの面積を散布することができる。また、機体には高度を維持するためのレーザーレンジファインダーを搭載し、地面との距離を測定する事で、気圧計だけでは不安定な対地高度維持を補助する。

 モーター軸間1,800mm、最大離陸重量48kgと大型であるが、6本のプロペラアームと散布ノズルアームは折りたたむことができるため、軽トラック等での運搬も可能となっている。

アームを折りたたんだ状態

 大型で約20kgペイロードの性能を有しており、農薬散布以外にも物流や物資輸送、災害対策等、多岐にカスタム可能なフレーム設計のため、大型機体の割合が増えている市場のニーズに合わせることができる。

受注開始 :2020年11月予定
販売価格 :希望小売価格(詳細は問い合わせ)