2020年8月6日、テラドローンは、ドローンサービスを提供するオランダ企業Skytoolsと出資契約を締結したことを発表した。テラドローンの他の欧州グループ企業との連携で、欧州の民間企業と政府機関に対し、より幅広く質の高いサービスを提供していく。

風力発電所や船舶の上空を飛行するドローン(2020年8月、ロッテルダム)

 両社はロッテルダムにトレーニング施設と研究開発センターからなるドローンハブを共同で設立。ロッテルダムは、世界で最も大きな石油化学工業地帯を抱える、欧州一の港湾都市である。

 2008年に創業したSkytoolsは、ドローン業界において12年の経験を有しており、ドローン機体の許認可登録・トレーニング・メンテナンスなどのサービス提供をはじめ、数多くの産業用ドローン機体の販売も行っている。

 同社は、顧客の既存のオペレーションやプロジェクトの安全性・効率性・生産性を向上させるため、ドローンの導入をサポートし、利活用を促進してきた。石油ガス・化学・建設・電力など、多岐にわたる業界の法人顧客に加え、警察、税関、水管理局などの政府系顧客にもサービスを提供している。

5Gにより遠隔でドローンの運行管理をする管制室

 また同社は、将来的にBVLOS(目視外飛行)や夜間飛行などを促進するため、EASA(欧州航空安全機関)より、来年1月に施行される欧州の新規制について、規制当局と協力して取り組んでいる。飛行や給電を自動で行う全自動ドローンや、5Gによる遠隔操作ドローンを商用化するための研究開発も行っている。

 今後は、同様にオランダにオフィスを構えるテラドローングループのテラドローンヨーロッパ(オイルガスメジャーなどの大手企業に対し、欧州内外で測量や点検サービスを提供)や、Terra Inspectioneering(超音波検査(板厚検査・非破壊検査)が可能な特殊なドローンを開発し、本ドローンによる貯蔵タンクを中心とした産業設備点検サービスを提供)と協力し、より価値の高いサービスを提供していく。さらに、同じく同社グループであるスロベニア企業のC-Astralが最先端技術により開発した、長距離固定翼機の販売も開始する。

 SkytoolsのCEOであるマルコ・ヴァン・エス氏は「欧州経済共同体(EEC)の表玄関「ユーロ・ポート」と呼ばれるロッテルダムを中心に、テラドローングループと緊密に協力することで、我々は顧客にとってより心強いパートナーとなることができる。このコラボレーションにより、オランダのみならず、欧州、そして世界中の企業に対し、より質の高いサービスを提供できることを嬉しく思う」と述べた。

 テラドローンの欧州事業統括である植野佑紀氏は「Skytoolsは、顧客のドローン導入と利活用のサポートに専念し、市場の成長に貢献してきた。現在テラドローンは、最先端技術、優秀な人材、継続性のある事業を、世界規模で連携させ、各国で素晴らしい化学反応が起き始めている。この10年あまり、産業用ドローンの普及は時間を要していたが、規制緩和や技術の発展、顧客によるドローンに対する理解の向上により、今後は普及が大きく加速していくと考えられる。テラドローンは、Skytoolsとのコラボレーションにより、ドローンの可能性を引き出し、よりよい世界を実現していきたい」と、述べている。

 テラドローンは、独自の技術とグローバルネットワークを基に、世界中で業界最先端のサービス・ハード・ソフトを顧客に提供していく、としている。

貯蔵タンク上空を飛行するドローン(2020年8月、ロッテルダム)