案内ロボット「HOSPI Signage」(右)と、ロボティックモビリティ(左)

 2020年7月9日、パナソニック、パナソニック プロダクションエンジニアリング、パナソニック システムソリューションズ ジャパン(以下、3社あわせてパナソニック)は、JR東日本メカトロニクス(以下JREM)と共同で、JR山手線・京浜東北線の新駅・高輪ゲートウェイ駅(2020年3月14日開業)において、2020年6月17〜30日に、ロボットを用いた駅サービスの実用化検証を目的とした実験を行ったことを発表した。

 本実証実験は、駅構内施設の案内や移動に不自由がある利用者への支援を行うもので、2019年12月10日に、さいたま新都心駅で行った実証実験に続き2回目となる。

 東日本旅客鉄道は、高輪ゲートウェイ駅を国際交流拠点の玄関口として最新の駅サービス設備の導入を進める「未来の駅」と位置付けており、各種ロボットのほか、無人AI決済店舗・QRコード改札機・鉄道テラスビジョンなど、さまざまな駅の最先端技術を試行導入している。

実証実験について

 実証実験で使用したのは、自律移動する案内ロボット「HOSPI Signage」と、ロボティックモビリティ(ロボット電動車いす)各1台である。

 HOSPI Signageは、人混みの多い施設内でも人や障害物を検知し、自律的に減速・回避し、回避できない場合には停止する機能を備えている。本実証実験では、胴体3面の液晶ディスプレイに感染症対策の注意喚起や駅の広告を表示しながら、予め設定された移動経路に沿って2階改札内コンコースを時速2.5 kmで自律移動した。動くサイネージは、固定型と比較して3倍の注目度(※)があり、広告価値を向上する媒体として期待されている。また、顔画面の表示と音声でトイレやエレベーターへの移動案内を日本語・英語の2カ国語で行った。

 さらに、設定した目的地までロボティックモビリティを先導し、移動が困難な駅利用者への支援や新たな移動体験を提供した。ロボティックモビリティは、先導するHOSPI Signageの軌跡を自動追従するほか、前方を人や障害物が遮った際は自動停止する安全制御機能を有している。

 本実証実験は、ロボットが自律的に移動や案内などを行うことから、人を介さずに利用できるサービスとしてのメリットがある。

 ロボティックモビリティに試乗した駅利用客からは「特に身体が不自由な人にはありがたいサービス」「観光地やテーマパークでも使いたい」といった声があった。駅サービスを提供するJREMの担当者からは「多様化するお客様のニーズにお応えし、 駅サービスのさらなる向上を図っていくためにロボットを有望視している」と、ロボット技術への期待が寄せられた。

 少子高齢化に伴う人手不足を解消する省人化や、新型コロナウイルス感染症の影響による非対面型サービスの需要が高まる中、パナソニックは社会課題の解決と新しい生活様式に適合したサービス提供の実現を目指し、今後もロボット技術の開発に取り組んでいく、としている。

※ 2018年1~2月に実施したHOSPI Signageの実証実験結果よりパナソニックが試算

関連情報

空港で自動追従電動車椅子の実証実験を実施(2019年5月16日)
https://news.panasonic.com/jp/topics/165730.html

空港でロボティックモビリティ(自動追従電動車いす)の実証実験を実施(2019年5月31日)
https://channel.panasonic.com/jp/contents/26240/

パナソニックが成田空港で自律走行サイネージロボット「HOSPI」の実証実験を実施(2018年1月12日)
https://news.panasonic.com/jp/topics/158243.html

HOSPIとロボティックモビリティがつくる新しい日常~高輪ゲートウェイ駅での実証実験
https://channel.panasonic.com/jp/contents/29116/