2021年10月1日、エアーズは、陸部と水部の同時計測や、効率的で高精細な計測が可能な「グリーンレーザーTDOT 3 GREEN」を導入し、2021年11月より本格運用を開始することを発表した。これに伴い、全国の「JUAVACドローンエキスパートアカデミー」で順次公開デモンストレーションを行っていく。
近年、全国各地で記録的大雨による水害や、河川の氾濫、土砂崩れが発生している。こうした被害を最小限にとどめる対策として、河川や森林地帯を面的かつ詳細にとらえた3次元データ化による地形の把握が必要となる。また、国土交通省では建設土木、インフラ分野におけるDX化を推進しており、さまざまな分野で3次元データ化のニーズが高まっている。
TDOT 3 GREENは、ドローンに搭載したレーザー計測システムにより地上と水底をシームレスかつ高精度に3次元計測し、河川や森林地帯、建設現場における調査や点検・管理の精度向上と効率化を支援する。
「TDOT 3 GREEN」の特長
・ 水を透過するグリーンレーザーを、軽量で小回りの利くドローンに搭載することで、浅瀬の水底の地形や雨上がりなどで濡れている地面でも広範囲かつシームレスに測量することが可能。
・ レーザーを使用することで、測量成果がダイレクトに点群化され、業務の効率化、生産性の向上が期待できる。
・ 航空レーザー測深機(ALB)よりも低高度から計測するため、1㎡あたり100点以上の高密度な点群データを取得可能。河床地形も詳細に再現する。
・ 送信機上でのリアルタイム断面表示や、レーザーの計測状況、測深状況を確認できる。少雨に対する機器の保護対策も強化されている。
活用の事例
1)河川地域での測量
従来通りの陸地や植生下の地表面に加え、さまざまな河川区間における水面下の地形を把握可能。
2)浅海域での測量
波が立つ海岸や船舶の侵入が難しい沿岸域でも海底地形を3次元データ化できる。サンゴ礁地帯の海底地形の測定、トンボロエリアでの微地形調査が可能。
3)建設現場での活用
レーザーでは樹木に覆われた地形でもグランドデータを取得できるため、調査設計段階から活用が可能。急斜面でも効率的にデータを取得する。写真測量に必要な標定点を設置することなく高精度な3次元測量が可能。ビーム径が小さく点群密度が高いため、電線や標識の形状も把握できインフラ構造物の維持管理作業を高度化できる。出来高管理に必要となる正確な土量とヒートマップの計算を手軽に実施可能。
4)災害調査での活用
短時間で現場のデータを取得し即座に災害規模を可視化、危険地帯を安全に計測する。軽量化により計測時間が大幅に向上し、山岳地帯での長距離におよぶ調査にも対応。
5)防災点検での活用
植生に影響されることなく、高密度のレーザーで地形を再現可能。等高線図や傾斜量図は微細な地形変化を捉え、防災点検において漏れのない現地踏査を行うための確実な机上調査を実施できる。
「TDOT 3 GREEN」製品仕様
レーザースキャナ スペック | |
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最長測定距離 | ≧ 10% 158m ≧ 60% 300m over |
測距精度 | ≧ 10% ±15mm ≧ 60% ±5mm |
パルスレート | 60,000Hz/秒 |
視野角 | 90°(±45°) |
エコー切り替え | 1st & Last/4echo |
スキャン速度 | 30走査/秒 |
レーザー波長 | 532±1nm |
ビーム拡がり角 | 1.0mrad |
作動温度範囲 | 0~40℃ |
寿命 | 10,000時間 |
INSスペック | |
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位置精度 | 5mm |
ヘディング | 0.03° |
ピッチ/ロール | 0.006° |
精度 | 0.01m/秒 |
アイセーフ機能
対地高度でレーザーの出力を制限するアイセーフ機能を有する。レーザークラス1Mに準拠。
対地高度 < 40m : クラス1 |
対地高度 > 40m : クラス3R ( NOHD : < 40m) |
測深能力
水面から50mの距離で
R=1.0 , 吸収係数 = 0.25 ( 1/m ) > 1.4 secchi |
R=0.5 , 吸収係数 = 0.25 ( 1/m ) > 1.25 secchi |
R=0.2 , 吸収係数 = 0.25 ( 1/m ) > 1 secchi |