2020年1月31日、AGRIST(以下 アグリスト)は、AIを活用した農産物の自動収穫ロボットを開発し、2020年1月からビニールハウスでの運用を開始したことを発表した。「ハウス等で使用し、野菜等を自動で収穫できる吊り下げ式のロボット」としてPCT国際特許出願を行い、2020年春から生産販売を開始する。

 これは、従来の地面を自走する方式の収穫ロボットの課題を解決する、農家の声から生まれたロボットである。農業の現場から農家と共に、シンプルで低価格な自動収穫ロボットを開発し、生産者の収益を2倍以上にして日本の農業所得の向上に貢献することで、持続可能な農業とまちづくりを目指すという。

AIを活用した農産物の自動収穫ロボットの運用をピーマン農場で開始

農業の担い手不足という課題を解決する

 日本の農業者の平均年齢は67歳。高齢化が進むと共に、農業の担い手不足という危機を迎えている。農家に調査したところ、農家は農作業の50%以上の時間を収穫・出荷作業に費やしているという。農業所得を向上させるためには、収穫作業を省力化・効率化する必要がある。

自動収穫ロボットを地元農家と共同開発

 宮崎県児湯郡新富町の若手農家は、スマート農業の実践と収益拡大を目指し、月1回の勉強会「儲かる農業研究会」を開催している。その会員でもあり、JA児湯の理事を務めるピーマン農家・福山望氏とアグリストは、ピーマンの自動収穫ロボットの共同開発を行い、2020年1月から福山氏の農場でロボットの運用を開始した。

農家の声から生まれたピーマン収穫ロボット

従来の収穫ロボットの課題を解決する新しい収穫ロボット

 農家と共同開発を行うにあたり、従来の地面を自走する方式の収穫ロボットの課題について意見交換と議論が重ねられた。「地面を走って収穫を行う場合、圃場が平らでないためにロボットが転倒してしまったり、圃場にある機械や装置が邪魔になり移動ができなかったりする可能性がある。更に、従来のロボットアーム型の収穫機では、価格も高くなり、保守管理も大変になるのではないか 」という農家の声から生まれたのが「吊り下げ式ロボット」である。

「吊り下げ式ロボット」でPCT国際特許を出願

 アグリストは、2020年1月に「ハウス等で使用し、野菜等を自動で収穫できる吊り下げ式のロボット」としてPCT国際特許出願を行い、2020年春から生産販売を開始する。また、農家と共同開発を行うことで開発・改良のスピードを上げて開発コストを軽減し、シンプルな構造にすることで低価格でのサービス提供と保守管理を実現する。

宮崎県内の農業関係者30名が収穫ロボットを視察

農業所得の向上を実現し、持続可能な農業とまちづくりを目指す

 AIを活用した農作物の自動収穫ロボットを農家にレンタルサービス提供することで、1反あたりの収穫量の20%以上改善とパート人件費の50%削減を目指す。更に、ロボットで収集するデータを解析することで、病気の早期発見を実現していく。その結果、利益を最大化した状態で、農家が規模拡大することを可能にする。

 アグリストは、自動収穫ロボットを低価格で開発・提供することで、農業にイノベーションを起こし生産者の収益を2倍以上に改善させ、農業所得の向上を実現する。そして、地域の経済活性化と雇用創出を促進することで持続可能な農業とまちづくりに貢献する、としている。