2019年11月29日、世界で100万人規模のSTEM教育コミュニティー「FIRST」を日本で運営するNPO法人青少年科学技術振興会FIRST Japanは、最新のテクノロジーを活用したシステムやデジタルコンテンツの開発を行う「チームラボ」とFRC設立パートナー契約を締結したことを発表した。

 FIRST Japanとチームラボは3年後に国際ロボット競技会「FRC」の公式予選会の日本開催実現に向けて協力していく。

 チームラボはFRC設立パートナーとして、資金の提供、作業環境の提供、技術メンターの提供を行う。最初の活動として、2019年10月にドバイで開催された高校生のロボットのオリンピック「FGC 2019」に参加する日本代表チームをサポートし、技術メンタリングを担当した。

 FRC(FIRST Robotics competition)は、米国FIRSTが主催する14歳~18歳を対象とする国際ロボット競技会。世界27ヵ国で開催され、3,647チームが参加する大会である。チームはプロのエンジニアが使用するハードウェア、ソフトウェアを用いた重量50kgを超えるロボットを約6週間で制作し、予選会・世界大会を目指す。

 1チームは10人以上で構成され、教員やプロのエンジニアをメンターとして迎え協働する。チームの活動はロボット制作だけでなく、大会活動費を集めるためのファンドレイジング活動、地域への貢献活動、広報活動と多岐にわたり、1つの会社を運営するようなチーム作りが必要となっている。FRCは、ロボット競技会の枠を超えた教育プログラムの一つであり、活動を通じてチームワーク、社会性を育むことの重要性が説かれている。

 またFRCは高い技術力と教育的効果が大きいことから、世界的な企業がスポンサーとして大会やチームを支援し、世界大会出場チームには全米の多くの大学からスカラシップを獲得する道も開かれている。

 これまで日本ではFRCは開催されてこなかったが、日本で公式予選会を開催することで、日本の高校生に世界へ繋がる国際大会に参加する環境を提供できるようになる。また、大会への参加は国外チームもできることから、アジア・オセアニアを中心とした海外チームの参加が見込まれる。大会の開催により、ロボットを通じた国際交流の機会も同時に提供することができるようになる。

 今後、ロボティクス・AI人材を育成することが各国の重要な課題となると言われている。FIRST Japanとチームラボは、FRCの日本での公式予選の開催を契機にSTEAM(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)教育プラットフォーム構築を加速させ、未来を拓くイノベーション人材の育成に取り組んでいく、としている。