2019年11月26日、Automagiは、千葉県君津市、Dアカデミー、アイネットとの「無人航空機による橋梁点検の実証実験」に参画することを発表した。

実証実験の概要

　同実証実験はドローンを活用した橋梁点検により、大幅な人的・時間的コスト削減や人手不足の課題解消、社会インフラの維持管理の実現を目的としている。Dアカデミーはドローン操縦者育成と点検及び撮影、アイネットはデータセンターの提供と画像の保管をそれぞれ担っており、AutomagiはAIによる画像検知の技術を提供する。2020年3月末までに君津市の橋梁を実際に撮影し、ドローンによる撮影手法の検討と映像の解析、当該手法の導入が可能な橋梁の条件精査、映像データ保管等、一連の運用と実用性を確認・検討する。実証実験後は、2020年度中の本格運用を目指す。

左：ドローン点検の様子、右：ドローン点検の撮影映像モニター

実証実験の背景

　高度経済成長期から半世紀程が経過した現在、当時一斉に建設された日本の巨大インフラの数々が耐用年数の限界を迎えようとしている。それらの施設のほとんどは地方公共団体が管理しており、点検人員不足や予算不足により維持するための適切な管理コストがかけられない等、様々な課題が生じている。そのため、安全かつ低コストな維持管理方法の検討及び本格運用が急務となっている。

参考：社会インフラの維持管理の現状と課題（国土交通省資料）
http://www.mlit.go.jp/common/001016260.pdf

AutomagiのAI技術の特徴

　Automagiはカメラで撮影された画像映像データから、サビ（腐食）、ひび割れ（クラック）、塗装の剥がれ、塗膜の浮きなどの劣化現象の検知と劣化度のスコア判定、報告書作成までを一気通貫で行う社会インフラ向けソリューション「AMY InfraChecker（エイミー インフラチェッカー）」（以下、同ソリューション）を開発しており、同実証実験に提供している。

【実際にひび割れ、サビを検出した様子】

君津市橋梁ひび割れ（クラック）検出
君津市鉄橋サビ検出

　同ソリューションは上記画像のようにひび割れ（クラック）、サビの他、部位破損などの外観検知項目に対応し検出が可能である。また、独自技術によりドローンで対象の施設を撮影した場合に背景から対象の構造物のみを切り出し、構造物の2次元の面積に対して劣化の割合や度合いを定量的に算出するロジックを構築している（特許出願済み）。同ソリューションの導入で、インフラ点検・診断の労務コスト削減と上記技術による効率化・点検品質向上が期待できる。

その他の特徴
・アナログ計器の異常値を検知する機能
・すでに使用している報告書にあわせた形式でデータ出力する機能

▼ AMY InfraChecker
https://www.amy-ai.com/insight/amy-infrachecker

君津市市長 石井宏子氏からのコメント
　「Automagi株式会社様は、社会インフラの点検に活用可能なAIの仕組みと、豊富な導入実績によるノウハウを保有しており、本実証実験にご参画いただくことによって、診断業務の精度向上や効率化が、より一層図られるものと大いに期待しております。」

　Automagiでは今後、君津市との同実証実験を通してAIを活用した橋梁点検のノウハウを蓄積し、各地域の自治体との橋梁点検ビジネスに注力していく。そして、AIソリューション「AMY」の開発・提供を通じて企業課題・社会課題の解決とさらなる発展に貢献していく、としている。