2019年10月29日、デンソーは、自社UAV(*1)を活用した橋梁点検サービス事業を2019年10月から開始することを発表した。

 デンソーは2016年に、可変ピッチプロペラを搭載した産業用UAVを開発した。可変ピッチプロペラは、羽根の角度を変化させることで、強風でも飛行できる耐風性と、橋梁に近接し定位の姿勢を維持できる安定性が特長である。2017年以降は、UAVを用いた橋梁の撮影、AI(*2)を活用した撮影画像の解析の実証を積み重ね、機体性能と画像解析技術の向上に取り組んできた。

 橋梁点検を担う建設土木業界では、現在、インフラの老朽化や、少子高齢化の進展による労働力不足が課題である。このような中、2019年3月に、国土交通省の定める「橋梁定期点検要領」が改定され、近接目視点検をロボット技術で補完・代替できる環境が整い、ロボットを活用した橋梁点検の効率化が期待されている。

 これを受けてデンソーは、これまで近接で目視点検が行われていた橋梁点検の一部をUAVでの撮影に代替し、撮影画像の解析、調書作成までを一貫して支援する橋梁点検サービスを開始する。同サービスは、目視点検の際にロープなどの昇降器具を用いて点検士が橋梁へアクセスする危険な作業の低減、橋梁点検車による道路交通規制に伴う渋滞の軽減にも貢献できる。また、デンソー独自の損傷AI解析システムを活用し、UAVで撮影した膨大な量の写真の中から橋梁の損傷箇所を自動で検出し、橋梁の図面上に損傷図を作成することができるため、損傷個所の正確な把握が可能になる。

 デンソーは、これからも自動車分野で培ったエレクトロニクス技術やロボットシステム技術を活用して、安心・安全な社会に貢献できる製品やシステム、ソリューションを開発・提供していく、としている。

*1 UAV:無人航空機 (Unmanned Aerial Vehicleの略) 通称、ドローン
*2 AI:人工知能 (Artificial Intelligenceの略)

デンソーUAVを活用した橋梁点検支援の特長
デンソーUAV
機体諸元
体格(mm)1500 × 1500 × 525
ペイロード(有効搭載量)2.0kg
飛行時間15分