2019年10月11日、ジャパン・インフラ・ウェイマーク(以下、JIW)は、国土交通省が奈良県にて実施する社会実験「パークスマートチャレンジ」に採択され、 2019年10月24日より実験に着手することを発表した。

1. 社会実験実施の背景

 国営平城宮跡歴史公園(奈良県奈良市、※1)は、特別史跡・世界遺産「平城宮跡」を国営公園として保存する活動を実施しつつ、産学官コンソーシアムのもとに民間提案型スマート技術を活用した公園マネジメントの抜本的な改善に力を入れている。今回、スマートシティの取組みの一環として、AIやIoTなどの新技術を活用し、公園の抱える課題の抜本的な解決・公園利用者サービスの創出等、より一層公園の魅力向上を目指す「パークスマートチャレンジ」が開始された(※2)。

 同社会実験のテーマの一部は、公園の利用や維持管理・メンテナンスの飛躍的な向上に資する技術の募集であり、JIWのソリューションが公園管理の効率化および観光客の集客を目的に採択された。

※1:平城宮跡歴史公園について(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001275150.pdf
※2:国営平城宮跡歴史公園 特別史跡・世界遺産「平城宮跡」を舞台とした"パークスマートチャレンジ"を開始!(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi10_hh_000296.html

2. 社会実験の内容

公園内施設の空撮およびAIによる設備情報の解析実験

 公園設備管理の効率化を目的に、ドローンで空撮したデータをオルソ画像・点群に変換して、同社会実験の採択事業社であるNTTコムウェア・国際航業と連携し、園内の構造物や周辺設備をAIにより解析する。また、それらのデータを活用して公園管理台帳システムとの連携を実施する。

空撮した画像を2D・3D化して解析するイメージ

植生解析用ドローンの運用実験

 マルチスペクトルカメラを用いた近赤外線撮影を組み合わせた植生解析用ドローンを運用し、植生解析の有用性を検証する。

日本初の国営公園における全自動点検に向けた実証実験

 気象条件を自動判断して、自動での離発着・データ取得・データ転送・SfM処理・給電が可能な完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN DRONE HUB」を用いて、ドローンの「ネスト(巣)ソリューション」の実証実験を行う。将来的には、無人での全自動運行を目指す。

画像提供:センシンロボティクス
画像提供:センシンロボティクス

AR技術を用いた平城宮跡向けコンテンツおよびアプリの提供

 平城京にまつわる歴史体験の提供・歴史教育への活用を目的に、AR(拡張現実)の技術を活用し、園内の特定建造物にARコンテンツを重ね「現地でしか見られない」タイムスリップした過去風景を構築するためのプラットフォームを提供する。

今後の展開

 同社は、同社会実験において平城宮跡歴史公園の更なる発展と今後のメンテナンス稼働の削減に寄与するとともに、今後も各所で実施される他の社会実験にも積極的に参加し、ドローンを用いたインフラ点検に資する技術を高めていく、としている。