2019年10月9日、テラドローンは、世界における90,000km以上の送配電線点検の実績をもとに、AI技術を活用した送配電設備点検用ソリューションを開発し、提供を開始したことを発表した。

 同ソリューションで使用されているAIアルゴリズムは、およそ1,500の画像処理を通じたディープラーニングにより、電力設備における異常箇所の検出精度は約92.5%以上となる。

 ドローン飛行により取得したデータは、このAIアルゴリズムを活用したシステム上で処理することで、鉄塔部品のゆるみやサビ、ピンの欠損、鳥の巣まで自動で特定することが可能である。さらに、修繕が必要な箇所については自動でレポート生成することもできる。

高精度なAIシステムにより特定された、鉄塔部品のゆるみや欠損

 また、データの保存先として、クラウドまたはオンプレミスの2種類のストレージが選択可能で、顧客の要求に合わせて導入をすることができる。

 送配電会社は、安定した電力供給をするために、定期的なメンテナンス、さらに送配電設備全体の状況を常に把握している必要がある。しかし従来の方法で点検する際には、ヘリコプターを飛行させるか、多くの点検作業員を現場に派遣しなければならず、点検作業における安全性やコスト面など、様々な課題があった。同ソリューションを活用することで、これらの課題を解消することができるという。

 また同ソリューションは、災害により被害を受けた送配電設備の迅速な復旧にも活用することができる。先月関東地方を襲った台風15号により、千葉県内では約2,000本の電柱が倒壊・損傷、君津市の送電鉄塔2基が倒壊・損傷し、これらが大規模停電の原因となった。迅速な復旧が求められるとともに、再発防止のためのドローンを活用した効率的な設備点検の需要は高まると言われている。

 テラドローンは、同ソリューションを活用することで、送配電設備のメンテナンス作業の効率化や安全性の向上を図るとともに、被災地域の復興にも貢献していく、としている。

自動で生成された点検レポート(ー例)
自動で生成された点検レポート(ー例)