水上ドローンや防衛用途まで広がる海洋無人機の活用領域
魚群探知機を世界で初めて実用化した古野電気は、船舶用電子機器の技術を活用した水上ドローンボート「FBUSV-1」を展示した。
同機は小型水上ドローンボートをベースとしたプロトタイプで、重量は約25kg。エントリーモデルとして小型軽量設計を採用している。搭載するマルチビームソナーは測定範囲が広く、従来のシングルビームソナーと比較して計測時間を大幅に短縮できる。ダム全域の測量では堆砂形状をより正確に把握できるほか、ため池、河川、湾岸部での利用も想定されている。
3Dプリンターを活用したロボット開発を行うボーダックは、水上調査用ロボットを展示した。カーボンパイプと3Dプリント部品を組み合わせた軽量構造が特徴で、水域や構造物を撮影しながらリアルタイムで状況を確認できる。
展示機体のサイズは120cm×78cm×30cm、重量はバッテリー込みで5kg。最大速度は10km/h、ペイロードは10kgで、1人でも運用可能な設計となっている。センサー搭載や自律航行機能の追加にも対応しており、仕様や価格は個別相談で決定する。
日本海工が開発する水上観測ロボット船「ロボセン」は、多胴船構造を採用したアクアドローンだ。各船体に独立した推進機と回頭機構を備え、波や風、潮流の影響を受けやすい環境でも安定した作業を行える。
独立回転機構により直角航行や回避行動が可能で、事前に設定した航路に従って自動航行し、定点保持を行いながら観測作業を実施できる。分解すればワンボックスカーに積載でき、現地で組み立てられる点も特徴だ。稼働率向上に寄与する「プロペラガード」で特許を取得しており、大阪・関西万博でも公開された。
防衛省の外局である防衛装備庁は、防衛生産・技術基盤の強化を担う組織としてTONに大規模ブースを出展し、海洋分野の研究開発技術を多数紹介した。
同庁では水中ドローンや水中ロボットの研究開発も進めており、漁網の位置を検出する機械学習技術の研究に使用する多用途小型ROVの実機を展示した。機体サイズは長さ460mm×幅580mm×高さ260mm、重量は14.2kg(バッテリー含む)。6基のスラスタで姿勢制御を行う。機体の大部分は既製品を活用しつつ、一部を3Dプリンターで製作している。メインカメラ1台とサブカメラ2台を搭載し、障害物との距離を把握しながら学習用画像を効率よく取得できる設計だ。研究用途のほか、水槽点検などにも利用されているという。
また、日本で唯一水深6kmまで潜航できるAUV「しんりゅう6000」も紹介された。海底地形調査やレアアース泥の調査・マッピングなどを目的に開発された機体で、新潟県岩船沖の海底パイプライン調査などにも投入されている。全長6.15m、最大横幅0.89m、縦幅0.74m、重量1679kg。巡航速力は3.0~3.5ノット、最大4.0ノットで航行し、最大20時間の自律航行が可能だ。
さらに、艦艇装備研究所が開発する戦闘支援型多目的USV(Unmanned Surface Vehicle:無人水上艇)のモデルも展示された。ステルス形状の船体を採用し、対潜戦機能などを搭載可能。有人艦艇の支援をはじめ、広範囲の警戒監視や情報収集、戦闘支援などを無人で長期間実施できる能力を持つ。
このほか、会場では海洋研究開発機構(JAMSTEC)や海上保安庁、IHI、川崎重工、富士通なども出展した。海洋技術は災害対策や洋上風力などのエネルギー分野、漁場環境の改善など多様な分野で重要性が高まっており、TONではそうした最新の研究開発や技術動向を専門家だけでなく一般来場者にも分かりやすく紹介していた。2年後の次回開催でも、海洋ロボティクスをはじめとする新たな技術の登場が期待される。
