1月6日から9日の期間、米ラスベガスで国際テックイベント「CES 2026」が開催された。同展示会には、次世代のモビリティとして注目されているエアモビリティ/空飛ぶクルマ(eVTOL)が数多く展示された。海外では、その多くがすでに実用段階に入っており、日本との違いも見受けられた。

個人所有を見据えた“空飛ぶクーペ”、スポーツeVTOL「AIR ONE」を展示

写真:展示されたeVTOL「AIR ONE」
写真:展示されたeVTOL「AIR ONE」
個人用2人乗りeVTOL「AIR ONE」。

 イスラエルのeVTOL開発スタートアップのAIRは、2人乗りのスポーツeVTOL「AIR ONE」を、パートナー企業であり開発技術をOEM提供する米Emotiv Mobilityのブースに出展した。

 AIRは2017年に創業し、2021年にeVTOLのプロトタイプを完成させ、いち早く受注を開始したことで注目を集めた。開発にはニデックや独Boschも協力しており、現在は製造拠点を米国に移している。

 8基の固定式マルチローターというシンプルな設計に、独自に開発された特許取得済みの飛行制御システム「Fly-By-Intent」を組み合わせている。Fly-By-Intentは、センタジョイスティック式の操縦桿を進行方向に傾けるだけで方向、速度、高度を維持するシステムとなっており、安全なフライトを実現した。AIR ONEの仕様は、最高速度が155マイル(約250km/h)、1回の充電での航続距離は110マイル(約180km)、飛行時間は約1時間。最大積載量は550ポンド(約250kg)と、非常にスポーツ性の高い機体に仕上がっており、現在はFAA(連邦航空局)に軽スポーツ機(LSA)カテゴリーと認められ、耐空証明の取得に取り組んでいるという。

 機内はシンプルながら快適性にも配慮されており、座席には折り畳み式のエネルギー吸収バケットシートを採用。日常的な利用を想定し、その快適性とスポーツ性から「空飛ぶクーペ」と称する理由も理解できるだろう。ボディの形状もデザイン性が高く、さらにはスーツケースなどの荷物を搭載する積載容量も確保し、自宅での充電も可能としているなど、個人所有を強く意識していることが分かる。

「AIR ONE」(AIR eVTOL YouTubeチャンネル)

4人乗り大型機と自動整備ロボットを披露、SAMBO Mobilityの総合eVTOL戦略

写真:展示されたeVTOL「AIR ONE」
4人乗りの韓国製eVTOL「B-33X」。

 韓国のSAMBO MobilityはeVTOLのほか、ドローンや地上走行ロボットなどの開発を手掛ける総合モビリティメーカーだ。CES 2026では、eVTOL「B-33X」の日常的な自動メンテナンスを担うロボットなどとあわせて展示された。

 「B-33X」はパイロットを含む4人乗りで、全長8m、高さ3.7m、幅12m、機体重量は1,800kg。8基のプロペラを備え、最高速度150km/h、最長航続距離100km、ペイロード300kgを確保している。

 会場では、CES 2025で公開した汎用性が高く、水素燃料電池を採用した2人乗りeVTOL「H-32」の映像に加え、乗り心地を体験できるフライトシミュレーターも展示された。さらに、自動メンテナンスロボットのデモンストレーションも行われ、機体開発から運用・整備までを含めた総合的な開発力が垣間見えた。

写真:会場に展示されたフライトシュミレーター
フライトシミュレーターでは、乗り心地を体験できる。

世界初の電動ジェットを搭載、Solo JetBikeが示す“空飛ぶバイク”の可能性

写真:展示された空飛ぶバイク
電動ジェットエンジンを採用した空飛ぶバイクを初公開。

 米インディアナ州に拠点を置くスタートアップLEO Flightは、2025年11月に発表した個人向けの電動エアスピーダーと称する「Solo JetBike」を初めて公開した。機体はデザイン性と安定飛行を両立しており、サイズは6.5×6.5フィート(約2m)と1人乗りのコンパクトな設計とし、トラックなどで輸送できるよう軽量化されている。

写真:「Solo JetBike」の密閉ファンクラスター部分
小径の密閉ファンを複数並べることで、冗長性に優れた安定飛行を実現。

 Solo JetBikeの最も注目すべきは、プロペラではなく、48基の密閉ファンを備えた電動ジェットシステムによって飛行する点だ。クラスター型電動ジェット推進システムを搭乗席の周囲に配置し、プロペラを使用しない。クラスター型電動ジェット推進システムは、低騒音性に優れ、小型の密閉ファンを複数使用して飛行することから、1つのユニットが故障しても墜落する恐れがないといった利点が挙げられる。

 最高速度は時速60マイル(約97km/h)で、高度150フィート(約46m)までの低空飛行を想定している。飛行時間は10〜15分と短めだが、固体電池を採用しており充電時間は比較的短く、自宅での充電も可能としている。

 Solo JetBikeは、FAAのPart 103に該当する設計のため、免許は不要だ。同社は「ホバークラフトの安定性と飛行のスリルを兼ね備えた新しい乗り物」と位置づけている。価格は9万9,000ドル(約1,570万円)で、999ドルのデポジットにより予約を受け付けており、年内に最初の予約分を納品予定だ。機体デザインには特に力を入れており、専任のプロダクトデザイナーを採用している。

eVTOL「LX-1」(LEO Flight YouTubeチャンネル)


 LEO Flightは、2022年からクーペモデルのeVTOL「LX-1」の開発を進めており、近未来感のある独特なデザインとなっている。これは、2027年後半の初期生産を目指して進行している。