ドローンサービスソリューションを展開するJDRONEは、10月1~3日に東京ビッグサイトで開催された「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2025」において、新開発の「ドローンリモートステーション」を初公開した。
ドローンポートの現場課題を解消する“一体型システム”
ドローンリモートステーションは、ドローンの発着および充電が可能なドローンポートに加え、電源装置、ネットワーク環境、衛星アンテナなどを一体化し、軽トラックに積載することが可能な統合型ステーション。遠隔地での継続的な監視作業など、ドローンを活用した長期運用を想定して開発された。
ドローンの運用現場では「電源はあるがネット環境がない」「ネットは通じるが電源が確保できない」といった課題が多く、従来は電源装置や通信機器、ポートなどを別々に持ち込み、現地で設置する必要があった。作業には人手と時間がかかるうえ、効率的な運用が難しかった。専用車両として車両を改造し、すべてを搭載する方法もあるが、高コストになるという課題もあった。
そこでJDRONEは、必要な機器をフレームで組まれたラックにまとめ、積み下ろしや設置を容易にしたドローンリモートステーションを開発。受注生産方式を採用しており、ユーザーの運用目的や手持ち機材、車両に合わせてフレーム構成を柔軟に変更できる。電源はポータブル電源やLPガス燃焼式発電機などから選択可能で、環境や用途に応じたカスタマイズに対応する。
設置時は、機器をセットしたリモートステーションを軽トラックなどの荷台に載せて現場へ移動。4本の脚部はクレーン車と同様のアウトリガー形式で、地面に接地させて水平を保つ構造となっている。軽トラックに搭載した状態で4本の支柱を設置させ、車両を移動すればすぐにドローンポートとして運用可能で、短時間で設置が完了する。
担当者は、「過去の実証実験では、ドローンポートの使用を試みたが、水平に設置することが難しい状況でした。展示している「DJI Dock 3」は、水平な場所でなければ安全装置が作動し、ドローンの運用ができません。4本の支柱の高さによってどこでも水平に設置できるのも大きな特長です」と説明した。
11月から運用開始、災害対応でのニーズを反映
同社によると、2024年1月の能登半島地震でも土砂崩れの監視にドローンポートが活用された事例があり、危険な現場で短時間に安全な設置が求められるケースは多いという。今回の開発には、こうした防災・災害対応現場でのニーズが反映されている。
ドローンリモートステーションは、2025年11月から運用を開始予定。価格はフレーム単体で120万円から、システム全体では500万円以内に収まる見込みだ。担当者は「防災用途に加え、シーズン限定の雪崩監視や工事現場での定点観測、進捗に合わせたポート移設など、さまざまな現場での需要を見込んでいる」と話している。
なお、JDRONEブースでは同ステーションのほか、防災対応の無人ヘリコプターや関連ソリューションもあわせて展示された。
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