レーザースキャナの開発メーカーであるYellowScanは、ドローンの測量事業を行うAce-1とともに国際ドローン展2021に出展した。Ace-1は新たにオランダのAcecore Technologies製産業ドローンの取り扱いを開始しており、YellowScanと提携したことで、専用の測量用ドローンを展開している。

大型のレーザースキャナの搭載と実用的な飛行時間を両立

 ドローンの写真測量を導入する企業が増える一方で、2021年に入ってからはレーザー測量への関心が高まりつつある。ドローン用レーザースキャナは高額な機器ではあるが、森林の中でも地表面のデータを正確に取得でき、写真だと解析しにくい地形であっても点群データから高精度な3Dモデルを生成できるなど、写真測量とは異なる利便性を発揮する。近年は、大小さまざまな大きさのレーザースキャナがラインナップされはじめ、注目を集めている。

 Acecore Technologiesは産業ドローンを開発するメーカーで、強度の高いカーボンファイバーをあしらったボディが特徴的だ。本国では大中小4種類の機体をラインナップしており、Ace-1が取り扱う機体は最大サイズとなるヘキサコプターの「Acecore Noa」と、中型機のマルチコプター「Acecore Zoe」の2種類。

大型ドローンの「Acecore Noa」。プロペラを含めた直径は2330mmで、プロペラまでの最低地上高は670mm。最大積載量は20kg。Noa、Zoeともに、最大速度は85km/hだ。RTKを搭載した機体単体の販売は約100万円だという。
中型ドローンの「Acecore Zoe」。プロペラを含めた直径は1310mmで、プロペラまでの最低地上高は388mm。最大積載量は6kgとなり、最大離陸重量は11.95kg。ペイロードなしで40分の飛行を可能とし、最大風速13.9m/sにも耐えることができる。

 Noaは日本で販売されているドローンの中でもかなり大型な機体であり、最大離陸重量は36.9kg。プロペラを含む直径は2330mmにおよぶ。そのサイズにもかかわらず、ペイロードなしで約60分、最大積載重量の20kgを積載しても約30分飛行できるというから驚きだ。それに加え、最大風速14.4m/s・最大突風速度18m/sにも耐え得る飛行性能を備え、10mm/h・30mm/3hの雨天でも飛行可能だという。

 大柄なボディながらも⻑時間飛行を実現していることから、多くのバッテリーを搭載していると思ったが、飛行に必要なバッテリーは2本。現場に多くのバッテリーを持ち込む必要がなく、非常に利便性が高い。さらに、バッテリーはペイロード重量によって小型で小容量のものと、大型の大容量の2種類がラインナップされているという。一般的な大型機に比べ、現場に持ち込むバッテリーが少なくできる一方で、機体は折りたためず、プロペラ・アーム・ボディに分解して持ち運ばなければならないため、可搬性はやや低めだ。

Noaに搭載されたYellowScanのVXシリーズ。上部のカーボン製のアタッチメントは、Acecore Technologiesが専用に設計したもの。

 YellowScanのブースでは、重量約3kgのレーザースキャナ「YellowScan VXシリーズ」を搭載したNoaと、重量1.3kgの「YellowScan Mapper+」の搭載に対応するZoeを展示。これは、YellowScanとAcecore Technologiesが提携したモデルで、YellowScan製品専用のアタッチメントを含むパッケージとなっている。

ディスプレイ付きの専用送信機。基本はミッションプランナーで飛行計画を作成し、PCから自動飛行させる。

 Acecore Technologiesのドローンは、豊富なオプションも魅力のひとつであり、ペイントカラーやLEDカラーを自由に組み合わせることや、センサー・モジュール・コンピューターなどの追加、搭載システムの変更やカスタムにまで対応している。Ace-1はドローン測量のプロフェッショナル企業として、活用に合わせたオプションを提案していくという。

 また、Acecore Technologiesの取り扱いを開始した経緯について、担当者は「近年、測量業界でもセキュリティー面を気にされるユーザーが増えている。とはいえ、大型のレーザースキャナを搭載し、十分に飛行できる国産ドローンはまだ存在しない。Acecore Technologiesであれば、大型機と中型機のラインナップが揃っているのに加え、完全オフラインで運用することができるため、セキュリティーの観点からも安心して運用できる」と話した。

EmesentのHovermapを搭載したZoe。Acecore TechnologiesはEmesentとも提携している。

 Acecore TechnologiesはYellowScanのほか、小型LiDARを取り扱うEmesentとも提携しており、同社製品のHovermapを搭載したモデルが株式会社みるくるのブースで展示されていた。