機体認証とは、自動車で言うところの車検制度をドローンを含む無人航空機に適用した制度のことを言う。車検制度は使用している自動車が安全に走行できるかを検査し、無人航空機における機体認証制度も同様に、使用しているドローンの強度や構造、性能などが一定の安全基準を満たしているかを確認する検査制度だ。

第一種型式認証、第一種機体認証:立入管理措置を講ずることなく行う特定飛行を目的とした機体/第二種型式認証、第二種機体認証:立入管理措置を講じた上で行う特定飛行を目的とした機体
(出所:国土交通省「機体認証|無人航空機レベル4飛行ポータルサイト」)

 機体認証制度は第一種と第二種があり、レベル4飛行を含むカテゴリーⅢ飛行を実施する場合は、第一種機体認証を取得していなければならない。第一種機体認証は1年、第二種機体認証は3年で有効期間が切れるため、認証を維持する場合は更新が必要となる。

 機体認証の取得は義務づけられておらず、任意での検査だ。国家資格である無人航空機操縦士を保有する使用者が機体認証を取得した機体でカテゴリーⅡ飛行(DID上空、夜間、目視外、人や物件から30m未満の飛行であり、飛行させる無人航空機の最大離陸重量が25kg未満)を行う場合、飛行許可承認申請を行わなくとも飛行できる。ただし、国家資格と機体認証いずれかが欠けている場合は飛行許可承認申請を免除される要件を満たさない。

 第一種機体認証はあくまでカテゴリーⅢ飛行を実施する上での条件のひとつである。そのため、国家資格保有者が飛行許可承認申請無しでカテゴリーⅡ飛行を実施しようとする場合、国家資格の等級及び機体認証の種類の組み合わせは問わない。

一等・二等国家資格、第一種・第二種機体認証をそれぞれ組み合わせた場合、飛行カテゴリーで許可承認が必要か不要かをまとめた表
許可承認申請が必要な飛行カテゴリーの条件(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

条件ごとの機体認証制度の手数料

 機体認証制度は無料ではなく、手数料を支払うことで検査を受けることができる。機体認証の手数料は第一種・第二種、新品・中古などの条件で異なるが、検査に出す機体の型式(機種)が型式認証を受けているか否かでも手数料が異なる。機体認証において、新品機は機体登録から1か月未満の機体を示し、中古は機体登録から1か月以上経過している機体を意味する。

 基本的な考え方としては、型式認証を取得している機種であれば未取得の機種よりも圧倒的に手数料が安くなる。

 例えば、型式認証を取得済みの新品機体であれば、第二種機体認証の場合、1機目は3,100円で検査を受けられる。そして、同様に新品ではあるが、型式認証を取得していない機体の手数料は以下の画像のように設定されている。

機体登録から1か月以内の機体かつ型式認証を未取得の機種の、第二種機体認証の新規申請手数料額
第二種機体認証の場合(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

 新品同様、中古であっても型式認証未取得の機種は手数料が高額になる。第二種機体認証の場合、型式認証を取得している中古機の手数料が8,200円から4万9,600円なのに対して、型式認証未取得の機体は以下のように28万6,800円から99万4,800円となっている。

機体登録から1か月以上(=中古)の機体かつ型式認証を未取得の機種の、第二種機体認証の新規申請手数料額
第二種機体認証の場合(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

各制度の違い

型式認証と機体認証の違いをまとめた表
型式認証と機体認証の違い(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

 型式認証制度と機体認証制度は混在されがちな制度同士であるが、型式認証はドローンを開発しているメーカー側が行う手続きである。型式認証はメーカーが機種全体の開発段階における安全を保証するために申請する制度であるのに対し、機体認証は使用者が所有している実際に飛行させる機体ごとの安全性を確認する制度だ。

 また、機体認証制度と名称が類似している制度として「機体登録制度」があるが、これはまったくの別物である。機体認証制度は各自が所有する機体の安全性を担保するための任意で取得する制度であり、機体登録制度はすべての無人航空機が登録しなければならない義務がある制度だ。自動車で例えると機体認証制度は車検、機体登録制度はナンバープレートの登録に該当する。