ドローン運航管理システム(UTM、UAS Traffic Management)とは、運航や飛行計画、運航者の登録管理、飛行ログの記録など、総合的な運航管理を支援するためのシステムやプラットフォームのことを指す。ドローンの運用は1人の操縦者が1機のドローンを操縦することから始まったが、1人で複数のドローンを運航する場合や、使用者の異なる複数のドローンが同一空域を飛行するためには欠かせない支援システムである。目視外環境において、空域の制約や衝突回避などの問題を管理する。

 ドローンのレベル4飛行(第三者上空における補助者なし目視外飛行)の運用を前提に、運航管理システムの開発が進められている。2023年以降には、有人航空機をはじめ、ヘリコプターや空飛ぶクルマなどが空域共有していくことを踏まえ、国プロとして国際規格化を目指した開発が始まっている。

 目視外の環境下でドローンを運用する際には、操縦者の目視にかわって周囲の状況を確認し、衝突などのリスクを回避する必要があるが、ドローンのセンサー等による状況把握には限界がある。そのため、ドローン運航管理システム(UTM)を通じて周辺空域の状況や有人機を含むほかの機体の運航状況をリアルタイムに共有し、リスクを回避するとともに効率的な運航を実現するために欠かせない仕組みとなる。

集約される情報

・飛行計画と調整
 運航管理システムは、各運用者の飛行計画を管理することができる。それを基に、ほかの航空機や制限エリアとの調整を行い、衝突回避などのリスク削減を行う。

・運航者の登録管理
運航管理システムでは、ドローン運航者の登録やライセンス情報、保険証明書などの情報管理を行う。これにより、合法的で信頼性のある運航者がドローンを運用する仕組みとなり、一定の安全を確保する。

・飛行ログの記録
各運用者が運用するドローンの飛行ログを記録し、データを保管する。飛行ログには、飛行時間、高度、速度、GPS座標などの情報が含まれ、運航者は飛行データを分析し、安全性や性能の向上に役立てることが可能になる。

・通信と連携
ドローンとのリアルタイムな通信やデータの共有を可能にする。これにより、運航者は遠隔でドローンの状態や飛行進捗を監視し、必要な指示や制御を行うことが可能になる。

・API接続
運航管理システムには、地形などの「地図情報」に加え、障害物となる建物や鉄塔、電柱、電線などの「障害物情報」、飛行禁止エリアやドローンの空域を示す「仮想データ」、気象情報や電波情報など時間的に変化する「動的データ」が必要とされ、民間企業が提供する各情報と連携することで運航管理システムの機能を拡張する構造となっている。

 2021年9月には、地図情報、障害物情報、仮想データ、動的データを取り入れることが日本発の国際標準として発行された。
▼ISO国際標準化機構、ドローン用の地理空間情報に関する国際標準を発行(2021年10月6日)
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/news/1183767.html