TSUMUGU HOLDINGS傘下の竹山は、伊藤忠商事およびドローン大学校と共同で、稚内市・利尻島・礼文島を結ぶ、ドローンによる医療機器輸送の実証実験を2026年10月7日に実施した。

 実証では、Wingcopter社製eVTOL型ドローン「W198」を使用して輸送を行い、着陸後は医療機関へ陸送した。

写真:飛行するドローン
飛行するeVTOL型ドローン「W198」
写真:AEDを手渡す様子
利尻島の医療機関へAEDを引き渡す様子

実証概要

 竹山が主体となって企画立案、全体統括、医療機関・自治体との調整、輸送対象物の選定を行い、物流の大半を海上輸送に頼る離島地域における安定的かつ持続可能な医療物流体制の構築に向け、ドローンによる医療機器輸送の有効性や安全性を検証した。

検証ルート輸送手段輸送対象物
① 稚内市→利尻島→利尻島国保中央病院ドローン・陸送AED自動体外式除細動器
② 利尻島→礼文島→礼文町国民健康保険船泊診療所搬送用人工呼吸器
③ 礼文島→利尻島ドローン緊急気道確保用キット
④ 利尻島→稚内市硬膜外麻酔キット、食道静脈瘤圧迫止血用バルーン
ドローン飛行経路・陸送経路図
ドローン飛行経路・陸送経路

【各社役割】

竹山実証実験の企画立案、全体統括、医療機関・自治体との調整、輸送対象物の選定
伊藤忠商事Wingcopter W198国内代理店として機体メーカーとの連携支援、実証実験に関する助言等
ドローン大学校ドローン運航に関する専門的知見の提供、飛行計画および安全管理に関する助言、技術的課題の整理

実証結果

 実施当日は平均風速8~10m/sという厳しい気象条件の中、全4区間でインシデントなく飛行を完了。輸送対象物に破損や汚損もなく、機器類は正常に起動した。医療機関までの輸送では、フェリーと自動車による場合と比較し、所要時間を最大約1時間短縮した。

 今後、竹山は運航体制や運用上の課題を整理し、実用化を目指す方針だ。

① 稚内市→利尻島→利尻島国保中央病院

写真:AEDをドローンへ格納、稚内市から利尻島へ出発・到着、ドローンカメラ映像、医療機関まで陸送(出発)、医療機関へAEDを引き渡し
輸送手段所要時間短縮時間
ドローン+自動車55分(ドローン34分+陸路21分)約1時間
フェリー+自動車約1時間56分(フェリー約1時間40分+陸路約16分)

※陸路の所要時間は、ドローン輸送では着陸場所から医療機関までの実測時間、フェリー輸送ではフェリーターミナルから医療機関までのGoogleマップ上の所要時間。

② 利尻島→礼文島→礼文町国民健康保険船泊診療所

写真:人工呼吸器をドローンへ格納、利尻島から礼文島へ出発・到着、ドローンカメラ映像、医療機関へ人工呼吸器を引き渡し
輸送手段所要時間短縮時間
ドローン+自動車49分(ドローン25分+陸路24分)約20分
フェリー+自動車約1時間9分(フェリー約45分+陸路約24分)

③ 礼文島→利尻島

写真:礼文島から利尻島へ出発・到着、医療機器を積み替え
輸送手段所要時間短縮時間
ドローン11分約34分
フェリー約45分

④ 利尻島→稚内市

写真:利尻島から稚内市へ出発・到着、ドローンから医療機器を取り出し、輸送物に破損汚損がないことを確認
輸送手段所要時間短縮時間
ドローン27分約1時間13分
フェリー約1時間40分
写真:各地の様子
各地点をつないだオンライン中継の様子

使用機体

写真:W198
製造会社Wingcopter(ドイツ)
モデルW198
最大積載量最大4.5kg
耐風性平均15m/s、突風時20m/s
巡航速度(標準)90km/h
最大飛行距離110km
本体(L×W×H)167cm×198cm×66cm
本体重量24.9kg
特徴・プロペラ・ローターの可変機構(特許)により、マルチコプターの垂直離着陸・ホバリング機能と固定翼の高速・長距離飛行の両特性を備える。
・完全自律飛行(手動コントローラーなし)。
・2024年3月、第一種型式認証の申請を国交省航空局より受理。
写真:W198のプロペラ・ローターの可変機構、W198(側面)