2026年9月17日、ソフトバンク、一橋大学および国立極地研究所は、成層圏通信プラットフォーム(以下、HAPS)を地上からリアルタイムに追尾し、レーザー測距する実証に世界で初めて(※1)成功したと発表した。
HAPS用に開発した「コーナーキューブ反射鏡(CCR)」をSceye(以下、スカイ)のLTA型(※2)HAPSに搭載し、小型・可搬型のレーザー測距装置で地上からレーザー光を送信した。その結果、成層圏に滞空するHAPSをリアルタイムに追尾しながら反射光を連続的に受信してレーザー測距することに成功した。
※1 成層圏を滞空するHAPSに地上からレーザー光を送信して追尾しながら、HAPSに搭載したCCRからの反射光を地上で連続的に受信するレーザー測距の実証として世界初。(2026年9月8日時点の公開情報に基づく、ソフトバンク、一橋大学、国立極地研究所調べ)。
※2 LTA(Lighter Than Air)型:空気より軽く、浮力を利用して飛行を維持するHAPS。
衛星通信やHAPSなどの非地上系ネットワーク(以下、NTN)によるサービスを支える次世代の高速・大容量の通信技術として「光無線通信」が期待されている。ソフトバンクは宇宙と成層圏間および宇宙と地上間の光無線通信の実証に向けた取り組みを進めており、今回の実証ではHAPSへの光無線通信装置の搭載方法や要件を検討するとともに、将来的な衛星とHAPS、地上間の光無線通信の実現に向けたデータを取得する。
実証概要
国立極地研究所がHAPSに搭載するコーナーキューブ反射鏡を設計し、ソフトバンクがコーナーキューブ反射鏡を配置した反射装置を製作した。地上側には、一橋大学が設計した小型の衛星レーザー測距装置「Omni-SLR」をベースに、HAPS追尾に対応した小型・可搬型のレーザー測距装置を構築した。装置には、上空のHAPSをリアルタイムで正確に追尾してレーザー光を送信する技術も活用している。
この実証は、ソフトバンクがHAPSの商用化に向けて4G LTE相当の基地局を用いて行った試験サービスの提供に合わせて実施したもの。スカイのHAPSにコーナーキューブ反射鏡を搭載し、地上からレーザー測距装置でHAPSを追尾してパルス状のレーザー光を送信し、反射光を受信できるかを検証した。
2026年8月22日にレーザー測距装置のソフトウェア調整を行い、8月23日から24日にかけて、地上からHAPSを連続的に捕捉・追尾しながらコーナーキューブ反射鏡にレーザー光を送信し、反射光を連続的に受信してレーザー測距を行った。
この技術を活用することで、将来的には複雑な動きをしながら滞空するHAPSを地上や衛星から追尾することが可能になる。また、成層圏と地上間の大気における光の減衰量など、光無線通信の実現に重要なデータを取得することができた。
【各者役割】
| ソフトバンク | 実証の全体計画の策定、コーナーキューブ反射鏡を配置した反射装置の製作とHAPSへの搭載の調整、レーザー測距装置用の機器の準備 |
| 一橋大学 | 小型の衛星レーザー測距装置「Omni-SLR」の基本設計、「Omni-SLR」をベースにしたHAPS用の可搬型装置の構築とソフトウェアの製作、実証前の性能検証 |
| 国立極地研究所 | コーナーキューブの設計と機能検証、レーザー測距装置から取得したデータの分析 |
今後3者は実証で得た各種データを分析し、成層圏と地上間における光の減衰や変動、HAPSの動きに応じた追尾特性などを評価する。その結果をもとに、HAPSに搭載する光無線通信装置の仕様や搭載方法、捕捉・追尾技術などの検討を進めていく。
ソフトバンクは、2026年に実施予定の低軌道衛星と地上間の光無線通信の実証や、2027年の低軌道衛星とHAPS間の双方向光無線通信の検証に向けて研究開発を進める。将来的には、HAPSや低軌道衛星などのNTNを光無線通信で接続することで、高速・大容量かつ柔軟な3次元通信ネットワークの実現を目指す方針だ。
