2026年7月6日、Liberaware(以下、リベラウェア)とパスコは、両社が保有する空間情報、GIS、画像処理、小型ドローンなどの技術やインフラ管理・点検などの知見を相互活用し、下水道管路を中心とした点検の高度化・効率化に向けた共同実証に関する基本合意書を、2026年6月10日に締結したと発表した。

下水道管の中を飛行する小型ドローン「IBIS2」、GIS上での下水道管路点検の管理イメージ

 日本の社会インフラは高度経済成長期に整備された施設の老朽化が進行し、維持管理・更新需要が急速に高まっている。一方、自治体の人材不足や財政制約が顕在化しており、従来の人手に依存した点検手法からの転換が課題となっている。特に下水道管路は狭く閉鎖された空間であることに加え、有毒ガスや酸欠、高温多湿、衛生面などの課題がある。

 これに対し国土交通省では、飛行式ドローンや浮流式カメラなどの新技術を活用した人が立ち入らない「No Entry点検」の導入拡大や、機械化・省人化、標準化を推進しており、新たな点検手法の確立が求められていた。

 今回の合意に基づき両社は、空間情報と小型ドローン技術を核としたデータ統合基盤を組み合わせ、従来の目視点検を補完・代替する手法として安全かつ高効率・高精度な点検運用モデルの構築を目指す。

【共同実証の内容】

  • 下水道管路を中心とした狭く閉鎖された空間などにおけるNo Entry点検の高度化・効率化
  • 小型ドローン「IBIS」シリーズによる取得データの位置情報付与およびGISとの連携による点検データの高度化
  • 点検データを活用したスクリーニング、状態把握、維持管理計画への活用手法の検証

【各社役割】

パスコ・GISプラットフォームの提供および点検結果の統合管理
・撮影データの位置情報付与、マッピング、自治体への提出形式整備
・点検仕様、評価基準、スクリーニング手法に関する整理・検討
・下水道以外のインフラ(建築物、トンネル、橋梁、プラント等)に関する調査設計支援
・後工程(診断・補修計画等)に向けたデータ連携
リベラウェア・IBISおよび後継機・派生機を含む小型ドローンによる映像・画像データの取得
・狭隘(きょうあい)空間点検のための操縦技術・運用ノウハウ提供
・取得データのパスコGISへの配信および前処理
・下水道以外の領域における飛行適用・安全管理ルールの整理
・新機体・新センサーの開発/適用条件(飛行環境、水位、曲線スパン等)に関する技術検証

 両社はこの実証を通じて、ドローンを活用した点検手法の実用化と標準化に向けた知見を蓄積し、点検から診断・計画までを一体化した持続可能なインフラマネジメントの実現を目指す。

 今後は下水道分野にとどまらず、建築物、トンネル、橋梁、プラント設備、港湾施設などの狭隘・閉鎖空間を含むインフラ分野への展開可能性についても検討する方針だ。

建設DXバナー