東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)では、2026年1月に山手線・京浜東北線、常磐線、2月に宇都宮線で停電事故による輸送トラブル、また2月に京葉線八丁堀駅でエスカレーター火災が発生した。同社は一連の輸送トラブルを踏まえ、今後の安全・安定輸送構築に向けた6項目の取り組み事項を発表し、その進捗状況を2026年5月8日に公表した。

輸送トラブルを踏まえて講じた処置

輸送トラブルを踏まえて講じた処置

今後の安全・安定輸送構築に向けた6項目の取り組み

  • 安全・安定輸送に関する業務フロー(作業手順)の見直し
     取り扱い誤りが長時間の運転見合わせに直結するような重要ポイントのチェック体制の検証を実施し、順次見直しなどを行っている。
  • 異常時の対応力向上
     対策本部に利用客の救済責任者を配置し、駅間停車列車に乗車中の利用客救済を速やかに実施するための指揮を行い、救済業務に専念させる。事象発生から30分以内で降車誘導の準備指示を行う。また、より実践的な訓練を定期的に実施するほか、異常時対応力向上のために車両機器などの予備品の増備を行う。
  • 検査や点検のレベルアップ
     予兆把握の取り組み、異常時におけるドローンによるリモート点検を実施。
  • 設備メンテナンスや事故復旧にあたる第一線社員の技術力の向上・強化
     2027年度は技術系採用数を従来計画より約150人増員する。さらに、教育訓練を実施していくほか、技能教習所などの訓練設備を活用した実践的で体験を重視した訓練を推進する。
  • 設備の維持管理に関わる修繕費の増額
     2026年度末までに修繕費を増額する(対前年+約300億円)。線路に近接する樹木・竹などの計画的な伐採を推進するため、伐採関連予算を2025年度から約10億円増額する。台風・降雪シーズン前には、樹木・竹などの状態を事前に目視点検する。
  • グループ会社、パートナー会社の体制・技術力の維持
     待遇や作業環境の改善を行い、関係従事員の安全性や作業生産性向上を進めることで、安全・安定輸送のレベルアップや働き方改革の実現を目指す。


 このうち、「検査や点検のレベルアップ」では、予兆把握の取り組みとして、モニタリング技術の導入やDX化を加速させ、設備トラブルが発生する前に劣化状況を捉え、的確なタイミングで修繕を実施していく。また、災害や異常発生時にはドローンによるリモート点検を実施する。従来は社員などが徒歩で被災状況を確認しているが、ドローンによるリモート点検を実装することで現地の状況を速やかに把握し、早期の運転再開につなげる。

 JR東日本は、山手線沿線にドローンドックを設置して不具合箇所の早期特定を図る試行導入を、2026年度秋に予定している。また、2026年度冬から上越線の一部で、災害発生時などに行う雪崩斜面の調査にVTOL型ドローンを活用するとしている。

予兆把握の取り組みの概要図
ドローンによるリモート点検の様子