写真:物資を吊り下げて雪山を飛行するドローン

 2026年4月24日、トラジェクトリーは八ヶ岳山岳エリアにおいて、大型ドローンを活用した物資輸送サービス構築に向けた規制・制度改革調査と実証実験を行ったことを発表した。

 内閣府が推進する「令和7(2025)年度 先端的サービスの開発・構築及び規制・制度改革に関する調査事業」において、デジタル田園健康特区(長野県茅野市)「大型ドローンでの山岳エリアの物資輸送サービス構築に向けた調査」の代表事業者として森ビル、HMK Nexusと共に採択され実施したものとなる。

調査・実証概要

 八ヶ岳エリアにおける山荘への物資輸送を想定し、ニーズ調査、ドローン航路の整備、関係各所との調整に関するルール作り、安全な運航方法の確認などを規制緩和の可能性の観点から調査・実証した。トラジェクトリーはドローン航路を整備し、周囲の飛行空間のリスク評価を行った。あらかじめ航路や飛行日時などを周知・調整することで、関係各所と連携した安全な空の運用体制づくりにも取り組む。

 森ビルは、「茅野市地域創生総合戦略」の遂行と地域発展に寄与するため、2021年に茅野市と「地方創生に係る包括連携協定」を締結しており、この事業では茅野市や八ヶ岳観光協会、地域住民との調整業務を行った。HMK Nexusはドローンを活用した配送事業として、山岳地域のニーズに合わせた配送効率化、ビジネス化の可能性を調査し、実証ではドローン運航事業者として山荘への物資輸送を担った。

事業名令和7年度 先端的サービスの開発・構築及び規制・制度改革に関する調査事業(大型ドローンでの山岳エリアの物資輸送サービス構築に向けた調査)
代表事業者トラジェクトリー
構成員森ビル、HMK Nexus
実施エリア茅野市(デジタル田園健康特区)の八ヶ岳山岳エリア
目的山岳エリアにおける物資輸送費用の軽減と、持続可能な運用体制の構築に向けた大型ドローンに対する規制・制度改革に関する調査

 これまで八ヶ岳の山荘への物資輸送は、ヘリコプター輸送と歩荷を組み合わせて行ってきた。ヘリコプターは大量の荷物を運べるが、天候の影響を受けやすく少量の輸送には適さず、燃料高騰や機体数の減少などから輸送費は上昇傾向にある。歩荷による輸送はスタッフの業務負担が大きく、山荘運営全体に影響を及ぼす課題となっている。

 こうした背景から、この調査では山岳エリアの物資輸送にかかる費用軽減を目的に、大型ドローンの飛行に向けた規制緩和に向け、ニーズ、経済効率や安全性の調査を行うとともに、山荘や関係機関と連携した飛行実証を実施した。

 事業では、八ヶ岳エリアにおける大型ドローンを活用した物資輸送サービスの社会実装に向け、経済効率や安全性の調査、山荘や関係機関と連携した飛行実証、ドローン航路の整備、安全運用方法の確認を行った。あわせて、2026年度より根石岳山荘などへのドローン航路を活用した物資輸送サービスを開始する。実証の結果、大型ドローンによる輸送は、ヘリコプターや歩荷輸送を補完する手段として有効であり、ドローン航路を共通基盤として整備・運営することで、運航効率や安全性の向上が期待できることを確認した。また、既存のバッテリードローンには山岳物流での制約がある一方、大型エンジンドローンは高標高環境下でも安定した飛行性能を示し、実運用に向けた可能性を確認した。

写真:荷物をセットする様子、ドローン、山荘の様子
八ヶ岳山岳のドローン航路
八ヶ岳山岳エリアドローン航路

 トラジェクトリーはこの実証を通じてドローン航路を整備し、あらかじめ定期飛行ルートや飛行予定を周知・調整することで、関係各所と連携した空の運用体制づくりにも取り組んだ。山荘周辺はヘリコプターが多く飛行しており、大型ドローンの社会実装には周辺のヘリコプター組織や地域関係組織との運用ルールや安全調整体制の仕組みを含めた設計が重要となる。

 この取り組みにより、これまで山荘では手に入りづらかった生鮮食品や緊急で必要になった薬、応急手当に必要な医療用品、補修用品などを、高頻度で機動的に輸送可能となる。ドローンはヘリコプターでは対応しづらい少量輸送を補完しやすく、山荘運営の柔軟性を向上させる新たな選択肢となる。これにより客層の多様化や山荘ごとのサービス差別化が求められる山荘経営の有効な手段になるとしている。

 今後、八ヶ岳エリアの他の山荘へのドローン航路の整備とサービス実装を順次拡張し、山岳物流インフラの構築を目指す。山岳地域における物資輸送の新たな選択肢として社会実装を進めることで、地域の暮らしや観光、山荘運営を支える仕組みづくりに取り組む方針だ。