トラジェクトリーは、2026年3月30日、静岡県浜松市天竜地区から愛知県北設楽郡東栄町にかけて、県境をまたぐドローン航路の実証を実施した。

 この取り組みは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が推進するデジタルライフライン整備事業「デジタルライフライン全国総合整備計画/アーリーハーベストプロジェクト」の一環となる。

写真:実証の様子、使用した固定翼ドローン、マルチコプター型ドローン

 全国展開に向けて進められているドローン航路システムの改修・高度化、およびドローン航路を起点としたエアモビリティデータスペース群の確立・高度化の成果を活用し、異なる運営者が管理する送電線上空や河川上空等のドローン航路間における直通運航、ドローン航路の複線化、航路の出入りを伴う運航について、開発成果の妥当性を実証することを目的としている。

事業名NEDO「デジタルライフライン整備事業/ドローン航路の実証」
実施日2026年3月30日(月)
実施エリア静岡県浜松市天竜地区から愛知県東栄町

 2025年3月、浜松市の天竜川水系上空にドローン航路が整備された。浜松市エリアでは、一級河川である天竜川上空約180kmにわたってドローン航路が整備され、物流用途や点検用途などでの活用が進められている。浜松市もこれを「新たな空のインフラ」と位置付け、安全性・効率性の高い運用を通じて社会実装加速を目指している。

 トラジェクトリーは、既存航路の知見を生かし、今回、静岡県浜松市から愛知県東栄町にかけて航路を拡張することで、県境をまたぐ広域活用の可能性を検証した。地域内に限定しない広域運用を視野に入れることで、中山間地域における生活利便性の向上や災害時の迅速な物資輸送、河川点検などのインフラ用途への展開を進める。

写真:飛行する固定翼ドローン、モニターを確認するスタッフ
実証の様子

 今後、実証で得た知見をもとに、静岡県浜松市北部地域から愛知県東栄町にかけた中山間地域におけるドローン航路の実装をさらに具体化していく。これらの地域は日常的な買い物や医療へのアクセスに課題があり、高齢化率も高いため移動手段の確保が重要になっている。また、土砂災害などが発生しやすく、災害時には集落が孤立するリスクもある。

 こうした背景から、市街地に比較的近い二俣エリアを起点に、浜松市内から北部地域や東栄町へ荷物を届ける運用や、静岡・愛知の両エリア間で物資をやり取りできる体制づくりを進める。普段は、買い物や医療へのアクセス向上、農産品・畜産品など地域産品の流通活性化による産業振興への貢献を目指す。災害時には、孤立集落への物資輸送や被災範囲の確認などにも活用し、地域の防災力向上につなげていく。

 ドローン航路は標準化や制度整備が進んでおり、今後は航路の認証・登録制度の運用開始も見込まれている。トラジェクトリーは、将来的には海外展開も視野に入れながら、地域課題を解決する空のインフラの社会実装を進めるとしている。