ブルーイノベーションは、消防庁が実施する「令和7(2025)年度 災害情報伝達手段としてのドローン活用に向けた検討会運営及び実証実験業務」において、検討会の運営および実証実験を実施した。

 この事業では、災害時に住民へ迅速かつ確実に情報を伝達する手段として、スピーカー搭載ドローンを防災行政無線等の補助手段として活用する際の留意事項や必要な要件を整理した。

 実証実験では、音声伝達性能や災害時環境を想定した飛行性能の検証など複数の検証を実施したほか、スピーカー搭載ドローンとドローンポートを活用した自動運用による災害情報伝達手段の有効性や迅速な運用の実現性を検証した。

 その一例として、宮城県仙台市などで実際に運用されている「津波避難広報ドローンシステム」を活用し、Jアラート信号を受信してから1~2分程度でドローンポートから自動離陸し、避難広報を開始できることを確認した。これにより、到達までに一定の猶予がある津波警報等の情報伝達におけるスピーカー搭載ドローンの有効性が示された。

写真:スピーカーを搭載した津波避難広報ドローン、ドローンポートの上空を飛行するドローン
左:スピーカーを搭載した津波避難広報ドローン(宮城県仙台市)、右:津波避難広報ドローン運用時の様子

 実証実験を踏まえ取りまとめた報告書では、ドローンは現時点で防災行政無線等の完全な代替とすることは困難であるものの、屋外スピーカーや戸別受信機を補完する情報伝達手段として有効であると結論付けた。ドローンは移動しながら広範囲に放送を行えるという特長から、特に以下のような場面での活用が有効とされる。

  • 沿岸部において、津波に関する情報を伝達する場合
  • 山間部において、林野火災の発生や警報等に関する情報を伝達する場合

 また、報告書には検討会での協議や実証実験での知見が「運用時の留意事項」として整理されており、消防庁が作成する「災害情報伝達手段の整備等に関する手引き」に反映される。これにより今後、全国の市町村が災害情報伝達手段としてドローン整備を検討する際に、具体的な判断材料として活用されることが想定される。

 さらに、自治体がドローンを運用する際の重要な留意事項として、「想定する運用時間帯において飛行が可能な体制を整えること」が記載された。

 災害はいつ発生するか予測できず、パイロットによる手動飛行では現場への移動や飛行準備に時間を要する。人的対応による初動の遅れを回避し、安全かつ迅速に情報伝達を行うためには、ドローンポートを活用した自動運用システムの導入が有効となる。

写真:ドローンポートと飛行するドローン
Jアラートと連動した津波避難広報ドローンシステム(宮城県仙台市)

 なお、検討会資料と報告書は消防庁ホームページで公開されている。

▼消防庁:災害情報伝達手段としてのドローンの活用に関する検討会
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/post-181.html

沿岸部と山間部でのドローン活用イメージ(現在の防災行政無線等→ドローンを活用した災害情報伝達)
沿岸部と山間部でのドローン活用イメージ(出所:消防庁「災害情報伝達手段としてのドローンの活用に関する検討会報告書」)

 ブルーイノベーションは、防災分野におけるドローン活用の拡大に取り組んでおり、ドローンポートを活用した自動運用システム「BEPポート|防災システム」を展開している。今回の検討事業で整理された運用要件に対応可能な技術基盤を活用し、自治体の災害対応力向上に向けた取り組みを推進する方針だ。