2026年3月3日、エアロネクストは、経済産業省の令和5(2023)年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査:二次公募)」において実施した「モンゴル国/ドローンを組み込んだスマート物流の標準化実証事業」の成果として、血液製剤のドローン配送を社会実装し、モンゴルにおけるドローン物流のデファクトスタンダード確立に向けた取り組みを前進させたことを発表した。
この事業では、交通渋滞や物流効率の低下が深刻なモンゴル首都ウランバートル市において、ドローン配送を組み込んだ都市型スマート物流モデルを構築・運用。2025年5月から11月末までの約7か月で合計422回の定常配送を実施し、516人分の輸血用血液製剤を配送、5人の緊急救命に寄与するなど、命を支えるインフラとしての有効性と持続可能性を実証した。
さらに、モンゴル国内における機体開発、モンゴルを起点とした第三国展開に向けた事業開発までを一気通貫で推進し、新興国に共通する物流課題に対する日本発ドローン物流モデルの海外展開の可能性を示した。
モンゴルの首都ウランバートル市では、深刻な交通渋滞や人件費の高騰、配送の小口化・多頻度化による物流効率の低下が課題となっている。この事業では、ドローン配送によるラストワンマイルにおける物流手段の拡張、ドローン配送を前提とした物流オペレーションの構築を行うことで、ドローンを組み込んだスマート物流のデファクトスタンダードを確立することを目指した。
血液製剤という医療分野を起点にドローン配送を社会実装し、運航体制の構築と合わせて現地の機体開発・整備の体制構築に向けた取り組みを行った。将来的には郵便やフード、日用品などの生活インフラ分野への展開、さらにキルギス、ウズベキスタンなど類似課題のある第三国への展開の可能性を検証した。
具体的な成果
ドローン物流モデル構築
エアロネクスト子会社のNEXT DELIVERYが運航全般のトレーニングを行った、モンゴル大手インフラ企業Newcom Groupの子会社であるMSDD(Mongolia Smart Drone Delivery)が、2024年に商用ドローン飛行ライセンスを取得し、国立輸血センターから市内複数の病院への輸血用血液製剤配送の商用運航を開始した。
【活動内容】
- 国立輸血センターから市内病院への輸血用血液製剤の定期配送を2025年5月に開始。5月から11月末まで合計422回の配送を実施、516人分の輸血用血液製剤を配送。
- 国立輸血センターからウランバートル市内14か所の病院への飛行ルートを確立。
- モンゴル郵便と共同で2025年6月の3日間、郵便物の試験輸送を実施。
- モンゴルの大手フードデリバリー事業者TOK TOKと共同で郊外の避暑エリアへ長距離(片道16.5km)配送を実施。
NEXT DELIVERYとMSDDが協働して日本基準の運航を積み重ねることで、オペレーションを標準化し、運航マニュアルも策定した。また、現地特有の厳寒、高地、都市部での運航といった厳しい条件下で運航経験を積み、実運用に耐える安全運航の検証と体制を構築した。
機体開発
現地パートナー企業と連携し、寒冷・高地・強風という過酷な環境下でも安定飛行が可能な機体開発を実施。量産開発や寒冷地向けドローン開発の知見を獲得するとともに、低価格で高品質なドローンの製造・供給拠点としての可能性を示した。
事業開発・第三国展開
キルギス、ウズベキスタンでニーズ調査やパートナー開拓を行い、医療配送を起点とした事業展開や、キルギス航空学院と連携したパイロット育成など、第三国展開に向けた具体的な議論を行い、実証実験の早期実施を目指す。
Newcom Groupとの関係強化
モンゴル国内で血液製剤のドローン配送に対する社会的評価が高まったことで、パートナー企業であるNewcom Groupとの関係が強化され、出資・共同事業推進を含む次フェーズへの検討が進んでいる。さらに、モンゴル大手物流会社との関係構築や、ロータリークラブからMSDDへの機体寄贈支援といった進展があった。
