2025年12月15日、川崎重工業(以下、川崎重工)とデンマークのBladeRobotsは、風力発電ブレード前縁補修分野における自動化・効率化を実現する新ソリューション開発に向けた戦略的パートナーシップを締結したと発表した。
風力発電は再生可能エネルギーの中でも継続した成長が見込まれる分野であり、世界全体の累計設備容量は1テラワットを越えている。風力発電設備のメンテナンス需要も急速に拡大しているが、主要部品であるブレードの前縁補修は専門的な技術者が手作業で行う方法が主流で、安全性や作業効率に加え人材確保にも課題があった。
川崎重工が開発する無人ヘリコプター「K-RACER」と、BladeRobotsが開発するブレード前縁補修ロボットを連携させることで、これらの課題を解決する新たな自動ソリューションの構築を目指す。このソリューションでは、K-RACERがブレード上にロボットを輸送し、ロボットが自動で補修作業を行う。メンテナンスの自動化により、現場作業の省人化、安全性の向上、品質の一貫性を実現し、効率的で水平展開が可能なソリューションとして増加するメンテナンス需要に対応する。
今回の戦略的パートナーシップの締結に先立ち、両社は風力発電分野の世界的企業であるVestas Wind Systemsの支援のもと、デンマーク国内の風力発電所において実証試験を行い、このソリューションが技術的に成立することを確認した。この試験では、風力発電所が立地する風が強い環境下で、K-RACERがロボットを吊り上げ、風力発電ブレードの前縁に設置し、回収して地上に降ろすという一連の想定プロセスを自動飛行と遠隔操作で実施した。
川崎重工とBladeRobotsは、今回のパートナーシップを通じて、社会実装および事業化に向けた取り組みを加速させるとしている。
