2025年11月28日、キビテクは、同社のロボット遠隔操作支援サービス「HATS(Highly Autonomous Teleoperation System)」と、Boston Dynamics社の四足歩行ロボット「SPOT」を連携したと発表した。
従来、SPOTの運用には専用アプリやVPN環境が必要で、カメラやセンサーが取得したデータの確認、点検ルートのアクション実行、他ロボットとの連携などは、個別の仕組みや人的対応に依存していた。今回の連携により、HATSの統合UI上で、SPOTの遠隔操作、映像取得、自律移動シナリオ(Autowalk)の実行を一元的に管理できるようになった。
具体的には、現場に応じてズームカメラや温度センサー、LiDARなどを柔軟に選択・搭載し、クラウド経由でリアルタイム送信が可能。また、巡回中のアクション(シャッター開閉、ズーム撮影など)は都度作業者が介入していたが、この連携によりAutowalkルート上で自動的に発動できる。さらに、HATSフリートマネージャー配下での協調動作(搬送ロボットとの連携やロボット呼び出し)を実現する。
ロボットの導入には、単体ハードウェアの性能や現場に即した遠隔操作、データ取得、点検制御といった実用レベルの機能が求められる。SPOTは高い自律移動性能を有しているが、カメラ映像の取得、遠隔操作、複数ロボットとの連携といった現場での実運用に必要な機能を実現するためには、専用ソフトや個別開発、ネットワーク環境の構築が必要だった。HATSとSPOTが連携することで、従来は現場ごとに開発・調整が必要だった機能を標準パッケージとして提供でき、ユーザーの導入スピードとコスト効率を大幅に向上させる。
主な機能
- 現場に応じたカスタムセンサー
SPOTにはズームカメラや温度センサー、LiDARなど、用途に応じたセンサーを搭載可能。HATSと連携することで、これらの取得データをクラウド経由で遠隔確認する機能に対応する予定。ユーザーの現場要件に合わせた追加開発により柔軟に拡張する。現場ごとに個別構築が必要だったセンサー連携を、HATSを基盤として一元的に扱えるようになり、将来的な拡張・運用効率の向上が期待できる。 - シナリオ型自律アクションの実行
SPOTの自律巡回機能であるAutowalkとHATSを組み合わせることで、撮影・設備操作などのアクションをルート上のポイントにひもづけて自動化する機能に対応予定。これまで個別スクリプトの実装が必要だった処理を、将来的にHATSのUI上で簡便に設定できるようアップデートを計画している。現時点では、ユーザーの用途に合わせた追加開発により提供可能。 - フリート管理下での他ロボット連携
SPOTをHATSのフリートコントロールに統合することで、周辺の搬送ロボットとの連携や自動応援要請(呼び出し)などの高度なマルチロボット運用を実現。他ロボットとの連携も標準構成に含み、別システムを新たに組む必要がない。 - 専用ソフトやVPN不要の操作環境
SPOTの操作に必要な専用アプリやVPN接続環境は不要。HATS UIのみで操作、映像確認、巡回制御ができる。セキュリティポリシー対応やIT部門との調整を簡易化し、導入障壁を大幅に低減する。
【想定する活用シーン】
- プラントやインフラ施設での定期巡回点検
- 物流倉庫での夜間巡回・異常監視
- 災害現場での初期状況把握と記録
- 他ロボットとの連携による自動搬送・補助作業
キビテクは、今後もHATSの機能拡張と多様なロボットとの連携を進め、複数ロボットによるマルチロボット・オーケストレーションの実現を目指すとしている。
