2025年10月2日、早稲田大学、テムザック、村田製作所、SREホールディングスは、日本のヒューマノイドロボット産業の再興を目指す新団体として設立した一般社団法人「KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)」のモノづくり体制、製作するロボットの概要、今後のスケジュールを中心に最新情報を発表した。

 また、今回新たに沖縄科学技術大学院大学(OIST)、マブチモーター、カヤバ、NOK、ヒーハイストがKyoHAに参画した。

写真:横並びになった9人のメンバー
京都市で実施した記者発表の様子

 近年、米国や中国を中心にヒューマノイドロボット開発が急速に進展しており、KyoHAはかつてのロボット先進国である日本の存在感を示すことを目指して設立された。

 日本では自然災害や労働力不足などが深刻化しており、ロボティクス技術への期待が高まっている。特に、人間に近い動作性能を持ち、極限環境下でも活動可能な「ヒューマノイドロボット」は、次世代の機械システムとして注目されている。しかし、AIやソフトウェアが進化する中、ハードウェア領域の国産開発体制や産業としての統合的な取り組みは未整備の状況にある。こうした課題に対して、京都を拠点とした新たな産業連携の枠組みとしてKyoHAを立ち上げた。

モノづくりの体制

 産業界・学術界の企業や機関がメンバーとして参画しており、業界を横断した連携に向け対話を進めている。“ヒューマノイドのための日本連合”として、今後も広く参画を募る。

ヒューマノイドの開発概要と、それに関わる企業

製作するロボットの概要

 実用性の高いヒューマノイドの実現に向けて初期プロトタイプを製作する。その後、パワーを重視したモデルと俊敏性や機能性を備えたモデルの2系統のヒューマノイドを製作する。

ベースモデル(初期プロトタイプ)のイメージ、そこから分岐するパワー重視モデル、俊敏性・機能性重視モデル

【1st Step】

  • 初期プロトタイプ
    • 汎用部品を活用し、ヒューマノイドモデルの基礎構築と技術課題の把握を目的とした初期型

【2nd Step】

  • パワー重視モデル
    • 災害現場や建築・土木など、過酷環境下での活動を想定した高出力型
  • 俊敏性/機能性重視モデル
    • 国内研究者が使える日本製モデルにする
    • 成人サイズにて俊敏・機能的な動作を行う
    • 将来的にロボカップへの提供を行う

今後のスケジュール

 2025年8月に一般社団法人として設立を終え、2026年度内には第1弾の開発・実装に向けた具体的施策を発表する予定。

2025年末製作するロボットのスペック確定
2026年3月初期プロトタイプ製作予定
2026年末2ndプロトタイプ製作予定

理事・会員

【理事長】早稲田大学創造理工学部 総合機械工学科 教授 高西淳夫氏
大学院情報生産システム研究科教授 橋本健二氏
テムザック代表取締役議長 髙本陽一氏
代表取締役社長 川久保勇次氏
村田製作所執行役員 川島誠氏
SREホールディングスコンサルティング&テクノロジーソリューション事業本部 佐々木啓文氏
沖縄科学技術大学院大学(OIST)沖縄科学技術大学院大学 教授(アジャンクト)北野宏明氏
マブチモーター取締役常務執行役員 事業統括 中村剛氏
カヤバ技術本部 基盤技術研究所 所長 伊藤隆氏
NOK上席理事 NOK Sealing Solution CTO 庄島大八氏
ヒーハイスト専務取締役 営業部担当 尾崎文彦氏
写真:椅子に座って並んだ6人
トークセッションの様子