2025年10月1日、INSOL-HIGH(インソルハイ)は、製造・物流業界の大手企業との業界横断コンソーシアム「ヒューマノイドロボット・フィジカルデータ生成センター」構築プロジェクトを正式に開始したと発表した。

 ヒューマノイドロボット専用のフィジカルデータ生成センターを2026年春頃に設立し、最大50台のヒューマノイドロボットが同時稼働する大規模なトレーニング環境を構築する。

 すでに山善などの製造・物流関連の大手企業各社と協業体制を構築しており、目標10社体制の実現に向け、現在複数の企業と契約交渉を進めている。

写真:複数のヒューマノイドロボット、作業する人
ヒューマノイドロボット・フィジカルデータ生成センター(イメージ)

 ヒューマノイドロボットの実用化を巡っては、中国や米国で国家主導による大規模投資が進むなど、世界的な競争が起きている。米国では自動車工場でのヒューマノイドロボットによる高速化、成功率向上が実証されている。日本では生産年齢人口の減少に伴う労働力不足が深刻化しており、ヒューマノイドロボットの社会実装が急務となっている。

 ヒューマノイドロボットの実用化には、実際の作業現場を模した環境で継続的にトレーニングを行い、大量の学習データ(フィジカルデータ)を収集して習熟させる必要がある。

 INSOL-HIGHの中核となるプラットフォーム「REAaL」は、ヒューマノイドロボットのタスク設計・学習・実装までを一気通貫で支援し、複数企業での協業による継続的な性能向上を実現する。

 ヒューマノイドロボット・フィジカルデータ生成センターでは、製造や物流等の現場を想定してヒューマノイドロボットをトレーニングし、生成されるフィジカルデータを蓄積・活用して実用化を推進する。

次世代データセンター構築プロジェクト概要

イラスト
「フィジカルデータ生成センター」イメージ

【プロジェクトの特徴】

  • 最大50台のヒューマノイドロボットが同時稼働する大規模トレーニング環境
  • 他の自動化ソリューションとヒューマノイドロボットの統合運用
  • 業種業界を横断した企業による効率的な技術開発とノウハウ共有
  • 実際の製造・物流現場を模した環境での実用的なトレーニング実施

【トレーニング内容の段階的展開計画】

  • ステップ1:基礎動作の標準化
    • ピッキング、搬送、組立など産業で汎用的な動作の習得
    • 業界共通の基礎技術の確立
  • ステップ2:産業特化型の応用
    • 製造業・物流業それぞれに特化した専門動作の習得
    • 各業界のニーズに対応した実用的なスキル開発
  • ステップ3:個社カスタマイズ
    • 各社の業務フローに最適化されたオーダーメイド対応
    • 現場での継続的な性能向上

 製造・物流関連大手各社との協業体制を構築済みで、さらに10社以上と交渉中。目標は10社体制。製造業、物流業、ロボティクス関連企業と協議を進め、ヒューマノイドロボット実用化の基盤構築を目指す。

参加企業役割
山善ものづくり商社としての自動化ノウハウと販売ネットワーク
その他複数社各業界での専門知識と実証フィールド提供
INSOL-HIGHプラットフォーム技術とプロジェクト総合運営

 このプロジェクトでは、ヒューマノイドの活用を目指す企業や、ヒューマノイドの普及を推進する企業の知見や資源を合わせ、短期間で高効率のトレーニング進行を実現する。高品質な日本でのトレーニングおよびソフトウェアREAaLによってヒューマノイドの価値を向上し、世界展開を目指すとしている。ヒューマノイドロボットの実用化により製造・物流業界の労働力不足の根本的解決を図る。

 参画企業は、個別導入と比較して導入負担が軽減されるほか、複数企業での共同開発により技術的不確実性が低減、蓄積された技術とデータにより短期間での実装、継続的なデータ蓄積による性能改善が期待できる。