2025年10月3日、三菱総合研究所(以下、MRI)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募した「デジタルライフライン整備事業/デジタルライフライン整備の推進に係る調査及びプロジェクトマネジメントオフィス業務」を受託したと発表した。
デジタルライフラインが全国に整備されることを見据え、自動運転やドローン航路、インフラ管理DXなどの、デジタル技術を活用した持続可能な生活必需サービスの実現を目指し、関係機関と連携・推進する。
日本では人口減少が進み、地方を中心に生活必需サービスの維持が課題となっている。こうした課題を自動運転やドローンなどのデジタル技術を活用して解決するため、国は2024年6月に「デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定。デジタル技術を活用したサービスの社会実装に必要な社会インフラを今後10年で全国に整備する方針だ。
デジタルライフライン全国総合整備計画の概要
この計画では、「ドローン航路」「インフラ管理DX」「自動運転サービス支援道」「奥能登版デジタルライフライン」の4つの分野で先行的な取り組みを進める「アーリーハーベストプロジェクト」を実施している。2025年度は前年度の取り組みをさらに前進させ、社会実装を目指すとしている。
業務の概要
MRIは、NEDO、情報処理推進機構のデジタルアーキテクチャ・デザインセンター(以下、DADC)、経済産業省等の関係機関と、採択事業者間の連携、円滑な協議プロセスの実現、シナジー効果創出、関連事業との連携実現のため、事業全般に係るプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)機能を担う。また、当該テーマ周辺事項の調査を行う。
・プロジェクトマネジメントオフィス業務
ドローン航路、インフラ管理DX、自動運転サービス支援道事業のプロジェクトマネジメントを補佐する。具体的には、各事業間の連携、NEDO・DADC・経済産業省との調整、関連事業(ウラノスエコシステム(※1)の実現のためのデータ連携システム構築・実証事業)との情報共有を通じて、事業全体の円滑な進行と成果最大化を図るとともに、広報・情報発信戦略を立案、実行し、社会的認知と受容性を醸成し、デジタルライフラインの全国展開と社会実装を促進する。
※1 ウラノスエコシステム:経済産業省および関係省庁・DADC等で推進している運用・管理を行う者が異なる複数の情報処理システムの連携に関する取り組みのこと。
・デジタルライフライン整備の推進に係る調査
各事業項目にまたがる横断的内容、短期・中長期的に共通規格・標準・仕様を準拠した、ハード・ソフト・ルールのデジタルライフラインを全国に行き渡らせるために求められる論点等を調査する。また、各事業項目を補完する調査や複数事業に関わるモビリティ・ハブ(※2)、スマートたこ足(※3)等の推進方策に係る調査を実施する。
※2 モビリティ・ハブ:ここでいうモビリティ・ハブとは、人的プロセスを可能な限り省力化・自動化しつつ、ヒト・モノの乗り換え・積み替え、モビリティの充電・駐車等に係るハブのことを指す。
※3 スマートたこ足:情報処理基盤、カメラや各種センサー等の環境情報を取得・処理する機器について、配置・工事に係る工数の重複を避けるための共通的な機能が集約可能な基盤・規格のこと。
アーリーハーベストプロジェクトでのユースケースに応じた制度設計や基盤整備を行うことで、デジタルライフラインの社会実装が加速すると期待される。
今後もMRIは、ドローン航路・インフラ管理DX・自動運転サービス支援道等の推進と、各分野から発展する空・陸・地下におけるデジタル技術を組み合わせた高度な社会インフラ整備、それらを効率的に連携させるデータ連携基盤構築を目指すとしている。
