2025年9月19日、竹中工務店、Kudan、ジザイエ、アスラテック、燈、センシンロボティクスの6社は、建設ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤の研究開発に共同着手したことを発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業／ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤構築（委託）」で実施する取り組みとなる。
建設現場で稼働する多様なロボット（搬送・耐火被覆吹付・測量・清掃等）が共通の機能モジュールを組み合わせて活用できるオープン開発プラットフォームを構築し、ロボットメーカーやシステムインテグレーターが自由に機能モジュールを追加・拡張できるよう研究開発を行う。
建設業界では、熟練技能者の高齢化や技能者不足が深刻化しており、ロボティクストランスフォーメーション（RX）技術による解決が期待されている。一方、現状では各ベンダーが個別にロボットを開発しており、互換性の欠如や開発コストの高さが課題となっている。
6つの研究開発項目を通じ、建設ロボット分野におけるソフトウェア開発基盤を構築する。
1. 全体アーキテクチャー（基本構造）の設計と構築：竹中工務店
- ロボットの機械部分からソフトウェアまでを包含するアーキテクチャーの設計
- 異なるメーカーのロボットでも共通して使えるアーキテクチャーの構築
2. ソフトウェア機能開発：Kudan
- 変化する建設現場でもロボットが正確に位置を把握し、自動で移動できる技術
- 複数のロボットが互いに連携して、効率的に作業を行うシステム
3. ハードウェア機能開発：ジザイエ
- さまざまな作業に対応できる共通移動ユニット
- センサーや制御装置を簡単に取り付け・交換できる標準化された構造
4. 通信環境構築：アスラテック
- 5G・Wi-Fi・メッシュ通信など複数の通信方式を組み合わせた安定通信システム
- 建設現場の環境変化（障害物の増減など）に柔軟に対応する通信基盤
5. 仮想空間での事前検証技術：燈
- 実際の建設現場をコンピューター上で精密に再現し、ロボットの動作を事前にテスト
- 建物の設計図（BIM/CIM）と連携した、リアルな作業環境シミュレーション
6. 運用支援管理ツール：センシンロボティクス
- 複数のロボットを一元的に監視・制御できる管理システム
- 異なるメーカーのロボットでも共通して操作できる標準インターフェース
この研究開発により、ロボットシステムの開発・運用コストの削減を目指す。また、「デジタル・ロボットシステム技術基盤構築事業」との連携により、複数のロボットシステムでの実証を通じて実用性を検証する。将来的には、建設業界で確立したプラットフォームを他産業にも展開するとしている。
