新潟県妙高市とKDDIスマートドローンは、2025年8月4日から6日、8月25日から26日の2回にわたり、同市が所有する標高2,100mの高谷池ヒュッテまで、上空電波を活用したレベル3.5飛行でDJI FlyCart 30を飛行させ、燃料・物資を輸送する実証を実施した。
2024年10月に高谷池ヒュッテまでの飛行ルートに新たに設置したau基地局(4G LTE)を活用し、麓側の操縦者がレベル3.5による目視外飛行でドローンを笹ヶ峰駐車場から高谷池ヒュッテまで片道約4.8kmを自律飛行させた。燃料を含めたペイロード重量約26kgの荷物をドローンに搭載し、ウインチ操作により荷物を山小屋に配置後、笹ヶ峰駐車場まで帰還する一連の飛行実証を実施した。
この実証により、麓側の操縦者のみでドローン飛行ができることを確認し、山小屋配送での上空電波活用の有効性を確認した。
なお同実証は「妙高市先進技術実証業務委託」の一環として実施したものとなる。
高谷池ヒュッテでは、シーズン初めにヘリコプターを使って飲食物や燃料等を運び、さらに必要に応じて歩荷による物資輸送を実施してきた。ヘリコプターはコスト面や臨機応変な輸送タイミングでの運航が難しく、また歩荷による輸送は人手不足や輸送重量の制約といった課題があった。
こうした課題に対し、ドローンの活用が期待されている。2024年度の実証では、麓の笹ヶ峰駐車場と高谷池ヒュッテにそれぞれ1人のフライヤーを配置し、プロポと機体を2.4GHzの直接通信で接続し、飛行実証を行った。
2024年、高谷池ヒュッテまでの飛行ルートに新たにau基地局を整備し、上空電波(4G LTE)対応エリアを構築。上空電波を用いてレベル3.5飛行を行うことで麓のフライヤー1人での運航を可能にした。
また、KDDIスマートドローンアカデミーの講師による地元ドローン事業者への機体講習や運航レクチャーを実施し、社会実装に向けた体制作りを進めている。
妙高市では、中山間地域等の移動や日常生活に不便な地域の課題解決手段としてドローンに着目し、ドローンを用いた収益性の見込める新たなビジネスモデルを構築することで、雇用の確保や市外企業の進出を誘導することを目的に、2021年度に「妙高市先進技術社会実装事業計画」を策定した。ドローンを活用した「山小屋での物資配送」「スキー場での物資配送」「緊急時物資配送」「農業分野での作業効率化」「観光分野での空撮」「橋梁等インフラ点検」「鳥獣害対策」「ドローン操縦者育成」の8分野を今後推進すべき事項として掲げ、ドローンの活用を推進している。
