2025年9月2日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、ドローン測量と解析・図面作成サービスの概算見積もりを算出できるウェブサイト「Terra Clip Estimator」を公開した。
必要条件を入力するだけで概算金額を即時に確認でき、ユーザー登録も不要。メールアドレスを入力すれば、概算見積書やKMLデータ(※1)を取得でき、正式見積もりにも円滑に移行できる。
※1 KMLデータ:位置情報や地形データを格納するXMLベースのファイル形式。発注者と受注者が計測範囲を正確に共有するために使用されることが多く、ドローン測量分野では欠かせないデータ形式とされている。
日本では、高度経済成長期に整備された道路・橋梁・トンネル・港湾など社会インフラの多くが建設から50年以上を経て、更新時期を迎えている。老朽化に伴う点検・補修・更新需要が増している一方、建設業では就業者の高齢化や若年層の減少が進み、人手不足や技能継承の断絶リスクが深刻化している。
この課題に対応するため、国土交通省は2016年にi-Constructionを提言し、建設プロセス全体へのICT(情報通信技術)活用を推進してきた。2024年には、i-Construction 2.0として、2040年度までに「省人化」「安全確保」「働き方改革」などによる建設現場のオートメーション化を目指す方針を示している。
国土交通省は公共案件の積算基準を公開しているが、ドローンレーザー測量は機械経費など一部の基準が未整備であり、成果物によっては実際の作業工数と乖離が生じる場合があることから、テラドローンはTerra Clip Estimatorを開発・公開した。
Terra Clip Estimator
必要条件を入力すると、テラドローンのドローン測量や解析・図面作成サービスの概算見積もりを即時に算出できる無料のウェブサイト。テラドローンの正式見積もりと比較して±20%の精度で概算金額を算出する。
国土交通省が公開している公共案件の積算基準をもとに、ドローン計測実績から得たノウハウを加味して算出基準を設定している。赤外線レーザー計測、グリーンレーザー計測、解析・図面作成(計測なし)の3つの手法に対応し、公共案件で広く活用されている国土地理院の標準地図データを採用している。必要な成果物の判断に不安がある場合は、業務目的を選択すると最適な成果物と手法を提案し、妥当性のある概算見積もりを取得できる。
ユーザー登録なしで概算金額を確認可能。メールアドレスを入力すれば、概算見積書や見積もり範囲のKMLデータを取得でき、2週間以内であれば再アクセスして見積もり条件を変更することもできる。概算見積書番号を提示することで正式見積もり依頼への移行が円滑になる。
テラドローンはTerra Clip Estimatorを基盤に、詳細見積もりの自動作成や、案件確定後の計測日程調整といった機能を順次追加していく予定。今後、ドローン写真点群測量やドローン以外の3次元計測などの手法への対応も進める。
同サイトの公開を通じて、測量関係者が妥当性のある概算金額を迅速に把握できるようになり、価格の透明性が高まることで、発注判断における信頼性の向上にもつながるとしている。
