2025年8月26日、スペースデータは、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」における船内ドローンロボット「Int-Ball2」の動作データを無償公開したことを発表した。だれでもデータをダウンロードし、対象のシミュレーション環境で分析・活用が可能だ。

写真:ISSきぼう内に浮かぶ「Int-Ball2」

 このデータは、JAXAの有償利用制度を通じて、スペースデータが2025年5月に実施した軌道上(きぼう内)での実証実験で取得したもの。ロボティクス分野で広く利用されているROS(Robot Operating System)に対応しており、ロボット研究者や開発者が地上ロボットの開発環境下でも容易に活用できる形式で整備されている。具体的には、Int-Ball2に対する誘導制御の目標やステータス、力・トルクコマンド、各プロペラ駆動のDuty比、IMUセンサー値、Visual SLAMによる自己位置推定(航法)結果などが含まれている。

 データの再生にはInt-Ball2のROSパッケージが必要となる。JAXAのシミュレーター(Gazebo)や、SpaceDataのシミュレーター(Isaac Sim)で再生が可能。

 上記の対応環境で再生することで、宇宙空間におけるInt-Ball2の実際の動作を仮想空間上に再現できる。これにより、カメラの死角などきぼう内で観察が難しいところにいるInt-Ball2の挙動も、任意の視点から自由に解析・応用することができる。

▼Int-Ball2 動作データのダウンロード
https://huggingface.co/datasets/SpaceData/int-ball2_data_on_iss

▼JAXAのシミュレーター
https://github.com/jaxa/int-ball2_simulator

▼SpaceDataのシミュレーター
https://github.com/sd-robotics/int-ball2_isaac_sim

 スペースデータは、同データを用いてInt-Ball2の動作をデジタルツイン上に再現した動画を6月に公開している。

国際宇宙ステーション(ISS)におけるリアルとバーチャル(実機とデジタルツイン)の動作比較実証(SpaceData Inc. YouTubeチャンネル)