2025年8月20日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、ドイツのEvos Hamburg(以下、EVOSハンブルク)が運営するタンクターミナルにおいて、ガス・石油貯蔵タンクを含む32基を対象としたドローンによる非破壊検査を実施したことを発表した。オランダに拠点を置くテラドローンの子会社Terra Inspectioneeringを通じて検査を実施。機体は自社開発の「Terra UTドローン」を使用した。
従来、タンク内部の点検は、足場やはしごを設置し、作業員が内部へ立ち入り目視で行う方法が一般的であった。この方法は、作業員の安全リスクやタンク内壁を損傷するリスクを伴うほか、足場の設置・撤去に時間とコストがかかるという課題があった。また、点検中はタンクの稼働を一時停止する必要があり、生産性が低下していた。
UTドローンを活用することで、作業員がタンク内部に立ち入ることなく点検が可能となり、足場の設置・撤去も不要となることから、従来数週間から1か月を要していた点検を最短1日で完了する。これにより、タンクの稼働停止時間を最小限に抑え、生産性への影響を軽減させる。
ハンブルク港に構えたEVOSハンブルクの拠点では、バイオ燃料、化学品、船舶用燃料、潤滑油を扱っている。多様なタンクの点検作業では、労働コストと従来の人手による非効率性が課題となっていた。
テラドローンは、2022年よりUTドローンを活用し、EVOSハンブルクが保有する各種タンクの点検を継続的に実施してきた。テラドローンの点検技術は、石油・化学製品を貯蔵するドイツ国内の大型タンクに適用される規格「EEMUA159」に準拠している。
実施内容
テラドローンは、Terra UTドローンを用いて、目視点検および超音波による板厚計測を実施した。このドローンは、タンク内部の損傷や腐食を可視化できる超音波探傷機能を備えており、表面を傷つけることなく高精度に測定することができる。超音波の伝播に必要なカプラント(接触媒質ジェル)を飛行中に自動供給できるディスペンサーを搭載している。
EVOSハンブルクは合計150基のタンクを保有しており、点検時はタンクの稼働を一時的に停止する必要があるため、すべてを同時期に点検することができない。今回は、全体の約5分の1にあたる32基を対象にドローン点検を実施した。検査は、非破壊検査の国際的な技術認証「ISO9712」の要件を満たした体制のもと行った。
テラドローンは今後、EVOSハンブルクが運営するタンクのドローン点検拡大に対応するため、用途や施設の特性に応じた柔軟なソリューションの提供体制を強化するとしている。
