2025年8月19日、SORA Technologyは、大阪府ペストコントロール協会より受託し、大阪・関西万博の会場内での防虫対策の一環として、ドローンによる高解像度空撮とAIによる水たまり検出、デジタルマッピングによる防虫対策オペレーションを開始したことを発表した。会場内における防虫対策の効率化が期待される。

写真:万博会場内の地面でスタンバイするドローン、操縦者
写真:万博会場内を飛行するドローン、操縦者
写真:万博会場内を飛行するドローン、操縦者

 従来の大規模イベントの防虫対策オペレーションでは、蚊等の発生源となり得る場所を歩きながら特定しており、関係者間での情報共有や薬剤の散布対象となるエリア(排水溝など)の迅速な特定と見える化に課題があった。ドローンにより万博会場を上空から撮影し、画像データを解析することで、会場内の排水溝の位置情報を特定するだけでなく、各国のパビリオンの屋上などに出現した水たまりなどを捉え、蚊等の発生源となり得る場所の特定を目指す。

実施概要

飛行日2025年7月~9月
飛行場所大阪・関西万博会場・夢洲(大阪府大阪市此花区夢洲)
飛行にかかる人員パイロット2人、補助作業員5人

 ドローンの1回の飛行範囲を300m四方に設定し、それを1グリッドとして夢洲全体を70グリッドに分割。実際にドローンを飛行させるグリッドを博覧会協会と協議した上で飛行計画を策定し、公安委員会への届け出と航空局へ申請を行い、飛行を実施した(※1)

 緯度・経度で飛行範囲を管理したマルチコプター型のドローンを、複数回に分けて会場上空を飛行させ、会場全域の空撮を実施。撮影した画像を合成してオルソモザイク画像(歪み補正をした航空写真)を作成する。

 ドローンの飛行スピードは秒速約10~15mで、飛行高度が100mであれば、約5分で1グリッドのマッピングを完了する。

※1 条例により、万博会場を含む夢洲およびその周囲1,000mの地域の上空では、ドローン等の飛行や撮影は禁止されている。ただし、博覧会協会や施設管理者等の同意がある場合等においては、公安委員会へ通報することにより、ドローン等を飛行させることができる。なお、必要な手続きをせずにドローン等を飛行させた場合、罰則(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の対象となる。

写真:上空から見た夢洲、万博会場を12分割して番号を振っている
写真:会場を飛行するドローン、操縦者

 海外から多くの来場者が集まる大規模イベントでは、デング熱などの蚊が媒介する感染症が流行する公衆衛生上のリスクがあるため、防虫ハザードマップの作成とデジタル化が求められている。
 ドローンで撮影した画像をウェブ上で共有できる状態にし、関係者が薬剤散布の対象地点の緯度と経度を入力して座標情報を整理することで、薬剤散布対象の情報を統合管理することに寄与する。スマートフォン専用アプリを使えば、散布対象地点へナビゲーションすることもできる。