金沢工業大学航空システム工学科の赤坂剛史研究室は、2025年3月6日、大型ドローン0号機の飛行試験を手取川河川敷で実施し、2024年12月に確認できなかった積載量50kg超の飛行実験に成功した。この結果を受け、開発中の山間地・被災地向け物資輸送用固定翼大型ドローンの開発を促進するとしている。
今回の0号機は機体の一部に改良を加えた翼なし試作機で、50kg超の重りを積載して浮上し、ホバリングすることを確認した。
大型ドローンの開発は、赤坂研究室が大学発新産業創出基金事業スタートアップ・エコシステム共創プログラム 「R6(2024)年度 TeSH GAPファンドプログラム」 ステップ1に採択されて取り組む「最大積載量50kg・飛行距離50km超のVTOL型有翼電動ドローンの事業」の一環として実施している。
令和6(2024)年能登半島地震では、被災地の港が隆起したため、救援物資輸送船が接岸できないという想定外の課題が発生した。ドローンは充電に数時間要するほか、物資輸送に使用するには予備のバッテリーの準備も必要となる。
赤坂准教授はドローンの飛行距離の開発目標を50kmに設定。この飛行距離であれば、沿岸の船から物資を運ぶことも含め、1回の充電で複数往復ができるというメリットもある。
試作機は前回と同じ、横幅2.5m×奥行き1.5mで、プロペラは8つ、バッテリーを8個搭載し、機体重量は約90kg。ドローンを大型にすると機体自体の振動が問題になるが、今回の50kg超の積載では、浮上およびホバリング時、特に大きな振動がなかったことを確認した。
同研究室は、前回の飛行試験で得たデータをもとに固定翼をつけた試作機の開発を進めており、今回は固定翼をつけた飛行実験も実施した。