愛知県は、2025年12月16日から2月13日までの平日の35日間、名古屋市中区栄地区において、公道走行するロボットデリバリーによる独立ロッカーを用いた「2カ所連続配送」の定期運行や、配送先への到着通知機能を活用した配送効率の向上に向けた検証を実施する。2024年度に引き続き、公安委員会への届出制に基づき実施するとともに、自律走行するロボットを遠隔監視・操作して運行する。また、小売事業者や物流事業者などを対象とした見学会を2026年1月23日に開催する。

 愛知県は、2023年度から自動配送ロボットを活用したラストワンマイル配送実証実験に取り組んでおり、事業化に向けた課題の抽出を行うとともに、新たな配送モデルの確立を目指している。

写真:通行人とともに歩道をわたるロボット
2024年度の実証実験の様子​

 実証実験では、貨客混載型の高速路線バスで、岐阜県可児市から栄バス停留所まで輸送したイチゴや加工品(ジャム、ジェラート)を、バス停で自動配送ロボットに載せ替えて栄地区内のホテルや百貨店等まで配送する。

輸送の流れ(生産者→高速路線バス→停留所→自動配送ロボット→配送先)
実施イメージ
地図に示された走行ルートと配送先
配送先・走行ルート(愛知県が国土地理院地理院地図を加工して作成)

実証実験の特徴

  • 県公安委員会への届出制による実施
     2023年4月施行の改正道路交通法により、自動配送ロボットは「遠隔操作型小型車」として定義され、一定の条件を満たす場合は、道路使用許可を得ることなく公安委員会への届出によって公道を走行することが可能となった。2024年度に引き続き、県公安委員会への届出により実証実験を実施す​る。
  • 遠隔監視・操作による走行
     緊急時に停止措置等を行えるよう、2024年度に引き続き、離れた場所から監視を行う「遠隔監視・操作」で自動配送ロボットを走行させる。中電ウイングの従業員が遠隔監視オペレーターとして、遠隔監視・操作のオペレーションの習熟、検証を行う。
    写真:ノートパソコンやモニターから遠隔監視をする様子
    遠隔監視の様子
  • 2カ所連続配送の実施
     独立ロッカーを用いた「2カ所連続配送」の定期運行を行い、自動配送ロボットの効率的な運用に向けた検証を行う。ロボットは4つのロッカーを搭載しており、それぞれ独立させてキーロックする。QRコードでそれぞれの開閉を制御して取り違えを防止したうえで、1回の運行で複数の配送先へ連続配送する。
  • 到着通知機能の搭載
     自動配送ロボットは無人で荷物を配達するため、配送先へのスムーズな受け渡しが課題となる。今回の実証実験では、ロボットの到着を配送先へ自動的に通知する「到着通知機能」を搭載し、非対面での荷物の受け渡しが円滑に行うことができるか検証する。
  • 高速路線バス・自転車による配送サービス業者との連携
     高速路線バスの荷室に積載した配送物は、バス停に到着後、バスの停車時間中にロボットへ速やかに積み替える必要がある。そこで、イチゴなどの農産物の輸送に必要な保冷・緩衝機能と、バスからロボットの荷室に一気通貫で積み替え可能なサイズを両立した積載ボックスを製作した。また、積載ボックスの積み替えを自転車による配送サービス業者が担うことで、円滑な荷物のやり取りと輸送品質の両立について検証する。
    写真:ロボットに荷物を載せ替える様子
    高速路線バスからロボットへ載せ替え
  • 実証期間・配送ルートの拡大
     6つの配送ルートを約2カ月の長期にわたって運行する。自動配送ロボットの社会的受容性の向上を図るとともに、都心部の複雑な交通環境における円滑な走行について検証を行う。

自動配送ロボット

 使用ロボットは、ROBO-HI社製の自動配送ロボット「DeliRo(デリロ)」。1回の走行で4カ所へ個別配送するため独立した4つのボックスを搭載しており、屋内外に対応する。カメラやLiDARで周囲環境を360度認識しながら、最大時速6kmで走行する。道路交通法上の遠隔操作型小型車に該当し、ロボットデリバリー協会の安全基準審査に合格しており、簡便な届出手続きで公道走行ができる。

写真:赤いボディの「DeliRo」
自動配送ロボット「DeliRo」

遠隔監視システム

 ロボットの遠隔監視・操作は、ROBO-HI社製マルチベンダー・ロボプラットフォーム「ROBO-HI(ロボハイ)OS」で実施する。ロボットのセンサー情報やカメラ映像を確認しながら遠隔監視・操作が可能。遠隔地からロボットを停止・発進させるなど、さまざまなマニュアル操作ができる。

写真:ROBO-HI OSの監視画面
遠隔監視システム「ROBO-HI OS」

実施体制

中電ウイング実証実験の実施主体
ROBO-HIロボットの提供、遠隔監視・操作システムの提供
東濃鉄道高速路線バスの運行
デイジーメッセンジャー高速路線バスからロボットへの配送物の積み替え

見学会

 2026年1月23日の見学会では、事業説明を行った後、2カ所連続配送の実証実験を現地で見学する。参加対象は自動配送ロボットの活用に興味がある企業や団体。参加費は無料。定員は20人で定員に達し次第、締め切りとなる。申し込み締め切りは2026年1月16日午後5時まで。

▼自動配送ロボットの公道走行によるラストワンマイル配送実証実験の詳細(愛知県)
https://www.pref.aichi.jp/press-release/25sanrobo-robotjidouhaisou.html