東海旅客鉄道(以下、JR東海)とジェイアール東海物流(以下、JR東海物流)は、名古屋大学、来栖川電算、Doogと共同で、安全かつ駅利用者が気づきやすく親しみやすい「自動搬送ロボット(試作機)」と、駅構内などの人の流れを正確に測定・解析する「大規模人流計測システム」を開発したことを発表した。
今後、名古屋駅などの人の流れが多い駅での実証試験を、2025年度内を目標に実施することを検討している。
JR東海では労働力人口の減少等に対応するため、ロボット等による作業の自動化に取り組んでいる。駅構内の店舗には毎日多くの商品を運搬・供給する必要があり、名古屋駅の場合、繫忙期では1日あたりトラック約40台分の商品を、手押しの運搬車を用いて20人で延べ160回に分けて運搬している。また、労働力人口の減少により将来的に作業員の確保が難しくなることも想定される。今後も継続的にサービスを提供するには、人に頼らない業務体制の整備や経験のない作業員でも運搬作業をできるようにすることが求められる。
「自動搬送ロボット(試作機)」概要
Doog製の自動搬送ロボット「サウザー」をベースに、混雑する駅環境で使用した場合のリスクアセスメント結果を踏まえ、安全性向上のため接触検知センサーの追加設置などの機能改良を行った。
さらに今回の開発では、モニターに顔を表示するなど、利用客が気付きやすく、親しみやすくするための各種ヒューマンマシンインターフェース(※1)(以下、HMI)を新たに開発・実装した。
※1 ヒューマンマシンインターフェース:人間と機械が情報をやり取りするためのインターフェース。今回の自動搬送ロボットでは、周辺の人にロボットの存在や進行方向等の動作を示す仕組みを指す。
「大規模人流計測システム」概要
自動搬送ロボットが駅構内を走行した際の利用客の流動への影響を継続的に計測するために使用するシステム。駅コンコース天井に3D-LiDARセンサーを複数設置して、エリア内の人や構造物の3次元位置情報を取得し、AI等を活用して各人が歩いた軌跡を導き出す。これをもとに、広範囲・高密度な駅環境下で人の動きを把握・分析する。
非常に高い精度を備えており、将来的には、人流を予測し、その結果を踏まえた最適な移動ルートをロボットが設定することも視野に入れて検討を進めていく。
【各者役割】
| JR東海 | 技術開発・試験・評価 |
| JR東海物流 | 物流業務を担うグループ会社 |
| 名古屋大学大学院 環境学研究科 井料美帆研究室 | HMIの検討・製作・評価、人流分析 |
| 来栖川電算 | 人流計測システムの構築 |
| Doog | 自動搬送ロボットの機能改良 |
