2025年7月16日、マゼックスは、新潟大学が開発した温暖化対応の水稲新品種「新大コシヒカリ(コシヒカリ新潟大学NU1号)」のコーティング種子の直播に関する実証実験において、農業用ドローン「飛助15」と新型粒剤装置「VG-A」による協力を行った。
同実証は、新潟大学と燕市が連携して実施したもので、地元農業法人や販売代理店の支援のもと進められた。現在は種まき(直播)を終え、今後の生育・収穫状況の確認を通じて、実用化に向けた検証を行う。
日本を代表する良食味品種「コシヒカリ」は、近年の地球温暖化により高温障害が頻発し、品質・収量の安定性が課題となっている。
新潟大学は、高温耐性と良食味を兼ね備えた新品種「新大コシヒカリ」を開発。この品種は猛暑下でも安定した収穫が見込まれている。
新品種の普及には、省力化・低コスト化といった営農面の課題解決も求められる。直播(ちょくはん)は、育苗や田植えといった工程を省略して水田に直接種子(種もみ)をまく技術であり、苗づくりや田植えを省けることから、気候変動や人手不足時代に適した水稲栽培モデルとして普及が進んでいる。
マゼックスは、燕市が主導する実証において、ドローンによる粒剤播種の実用性を検証するために現地で散布協力を行った。従来の農業用ドローンの粒剤装置では、種子のコーティングがはがれる懸念があったが、同社は新型粒剤散布装置「VG-A」を開発し、技術的改良を施している。
【改良点】
- 電子制御による吐出量の精密制御
- かくはん機構の搭載により、種子の詰まりを防止
- 流路設計を見直し摩擦・衝撃を低減させ、コーティングを保護
実証実験の概要
| 実施日 | 2025年5月20日 |
| 場所 | 新潟県燕市 |
| 使用機材(提供・協力) | 農業用ドローン「飛助15」+粒剤装置「VG-A」 |
| 対象品種 | 「新大コシヒカリ」(べんがらモリブデンコーティング種子) |
| 協力体制 | 燕市の支援のもと、新潟大学が主導し、農業法人(アグリシップ)、販売代理店(丸山昌治商店)などと連携して実施。 |
主な初期成果(播種段階)
- 種子コーティングの損傷を抑えた安定散布に成功
- 均一な吐出と作業性の向上を確認
- 今後の育成・収穫フェーズに向けた技術的検証の基盤を形成
今回の実証は、新潟大学による品種開発と地域連携のもとで進められる、次世代スマート稲作のモデルづくりの一環。今後、秋の収穫に向けた生育状況を継続的に確認し、実用性・再現性の高い営農モデルの確立を目指す。
