2024年10月3日、Terra Drone(以下、テラドローン)は、同社子会社でベルギーに拠点を置く運航管理システム(UTM)プロバイダーの Unifly(以下、ユニフライ)が、ヨーロッパ最大級の港であるアントワープ・ブルージュ港(以下、PoAB)への自社UTMの試験導入から5年が経ち、港湾業務の効率性と安全性を大幅に向上させたことを発表した。
U-Space(※1)を実際の環境や社会と統合していくことを目的としたSAFIRプロジェクトの一環として、2018年にドローンの安全かつ柔軟な運用を目指した実証実験を開始。2019年にはPoABにおいて、ユニフライのUTMを活用し、複数ドローンの運用や衝突回避のデモンストレーションを実施し、良好な結果を得た。この成果を受け、2020年にPoABとユニフライは正式導入のための契約を締結し、ユニフライのUTMが本格的に使用されることになった。
SAFIRプロジェクトでは、PoABの120km²にわたる広大なエリアで、監視飛行、小包配送、医療輸送、インフラマッピングなど、複数のドローンの運用が安全かつ効率的に行えることを実証。これにより、PoABの港湾当局は広範囲を迅速かつ確実に管理・検査・制御できるようになり、港の安全性と運用効率が大幅に向上した。
こうしたSAFIRプロジェクトの成功を受け、PoABは管轄内のエリアにおいてドローン運用の監視・規制を戦略的に行う役割を担うことになり、ユニフライのUTMを正式導入。リアルタイムでのドローン飛行の監視や調整、管理によってドローン飛行の状況認識と運航管理が大幅に向上し、ドローンが飛行するスマート港湾となった。
ユニフライのUTM導入により、ドローン技術の統合と港湾業務のオペレーションの効率化を実現し、直近3年間でBVLOS(目視外)を含む7,336件のドローン飛行を実施。さらに、スマートポート技術分野で新たなビジネス機会を創出した。
※1 U-space:EUのドローン実装のための規制の枠組みまで含めた運航管理に関する概念。
代表コメント
アントワープ・ブルージュ港 ドローン・プロジェクト・リーダー ボブ・スパノゲ(Bob Spanoghe)氏
次世代の港では、自律型ドローンがネットワークを形成し、1日に何度も港湾エリア上空をBVLOSで飛行し、リアルタイムでデータを送信するようになります。SAFIRプロジェクトやUniflyのUTM導入は、これを実現するための大きな一歩となりました。
ユニフライ CEO アンドレス・ヴァン・サルム(Andres Van Salm)氏
アントワープ・ブルージュ港でのBVLOS飛行の成功は、ドローン技術の可能性を証明しました。私たちは、UTMとU-spaceに準拠したサービスを統合することで、港湾の空域を安全かつ効率的に管理できるようにして、新たなビジネスの機会を生み出しました。これからも、UTMや次世代エアモビリティ(AAM)の新しい基準を作り出していくことに邁進していきます。