2024年7月26日、下田ライフセービングクラブ(以下、下田LSC)は、静岡県、下田市、ウインディーネットワークと協働し、白浜大浜海水浴場でドローンを活用したパトロールを開始したことを発表した。

 2022年度から実証実験を実施しており、2024年度からはライフセーバーが操縦するドローンでの海水浴客の安全確認、スピーカーからの呼びかけを行っている。ドローンパトロールは、2024年7月13日~8月31日(8時~16時)の土日祝日、繁忙期を中心に行う。

写真:砂浜に置かれたパネルの上のドローンと、横に立つ操縦者ら。
海外付近を上から撮影した写真に示された遊泳エリアとドローンの飛行ルート。
定時飛行のパトロールコース

 ドローンパトロールの導入は、監視活動の効率化と安全性の向上が目的。上空からの監視は広範囲の状況を把握することができ、緊急時には迅速な対応が可能となる。これにより、ライフセーバーの負担軽減、監視精度の向上が期待される。また、活動に参画する人材の多様化を図ることで、今後のライフセーバー不足の対策に寄与する。

 ウインディーネットワークは、静岡県の過疎対策事業の一環として、現場でのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を含むドローン活用のための人材育成事業を実施し、今回のパトロール活動に協力している。

 ドローンはあくまで監視と情報提供の補助役であり、救助そのものはライフセーバーが担当する。ドローンによる監視と人による救助活動が連携することで、総合的な安全性の向上を図る。

写真:砂浜に置かれたパネルの上のドローン。
パトロールに使用している機体
写真:モニターに表示されたドローンからの映像。
管理事務所内のモニターで同時に監視が可能

 白浜大浜海水浴場は全長約800mの砂浜で、その左右にある岩場は立ち入り禁止となっており、人が立ち入った際にはライフセーバーが走って行き注意を呼びかけている。また、砂浜は東向きのため午前中は太陽の照り返しで監視が見づらいなどの課題がある。風の影響を強く受ける地形でもあり、オフショア(沖へ向かって吹く風)が吹く日には、多くの浮き輪やフロート利用者が風によって沖に流され自力で戻ることが困難になるケースがある一方、オンショア(浜に向かって吹く風)が吹く日には、海の中にいる利用者に対する陸地からの注意喚起が届きにくい。

 ドローンはこれらの監視活動上の課題を解決する手段として効果があり、午前中の見づらい状況でもクリアな映像を提供し、オフショアの日には広範囲の遊泳者の様子をリアルタイムで監視することができる。オンショアの日には、ドローンを通じて遊泳者に直接的にアナウンスすることで安全性を向上させる。

写真:砂浜に立つ操縦者らと、その向こうを飛行するドローン。

 静岡県と下田市はドローン導入による過疎地域の活性化に取り組んでおり、2022年度、2023年度には専門人材を過疎地域に派遣して地域の課題を解決する「過疎地域等政策支援員」制度を活用し、ライフセーバーやドローンパイロット等の専門人材、ドローンを活用した海水浴場の安全監視業務について、業務に携わる人材の多様化や業務の省力化を目的とした実証実験を実施している。

 2024年度は国の「過疎地域持続的発展支援交付金」を活用し、静岡県によるドローンパイロットの育成、下田市によるドローンを活用した海水浴場の安全監視業務(下田LSCに委託)、同市へのドローンの配備(現在はウインディーネットワークが所有する機体を使用)を予定している。