2024年7月23日、ブルーイノベーションは、同社が提供する屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」を東日本テクノサーベイが導入したことを発表した。

 インフラ施設の点検作業では、作業員の高齢化による人材不足や技術継承が課題となっている。特に、長年の経験とノウハウを持つベテラン作業員の引退や設備の老朽化が進む中、少数の作業員で効率的な点検を行うことが求められている。

 東日本テクノサーベイがELIOS 3の効果を検証したところ、飛行安定性と操作性能により経験の浅い操縦者でも点検作業ができると判断し、水力発電所や火力発電所における点検作業に導入した。

写真:屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」の外観。メッシュ状のケージで機体が守られている。
屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」

水力発電所の水路内点検

 従来、水力発電所の水路内点検は人が直接水路に入り目視で行ってきた。急傾斜や暗所、狭所などがある現場も多く、100m程度を点検するのに丸1日かかることもある。そのため、作業員の安全面でのリスクや業務負担、各作業員による点検精度のバラつきや変状箇所の見落とし等が課題だった。ELIOS 3の導入により点検作業時間が1時間程度と大幅に短縮されただけでなく、水路内に人が立ち入る必要がなくなり、作業環境や安全性が大幅に向上した。また、付属ソフトを活用したデータ化(3次元点群データ)により、点検品質も向上した。

写真:真上から撮影した水路を飛行するドローン
水力発電所の水路内部を点検する「ELIOS 3」
画像:黒地の背景にオレンジ色で描写された建物、建物からオレンジ、緑、黄色に色を変えながら下に伸びる水路(色は高さを表す)
水路内部の3次元点群データ

火力発電所内での緊急点検

 火力発電所では、地震発生後の緊急点検でELIOS 3を活用した。従来は設備内に仮設足場を設置して人による目視点検を行うが、通常運転ができるまでに仮設の設置・撤去を含め2~3週間の点検期間を要し、数百万円の仮設費用がかかっていた。ELIOS 3を使用することで1日で点検が完了し、大幅な時間短縮と仮設費用の削減が可能となった。

写真:薄暗い煙突内を飛行するドローン
火力発電所の煙突内部を点検する「ELIOS 3」