岩谷技研は、2024年7月17日、北海道十勝地方で気球のフリーフライト有人飛行試験を行い、最大到達高度2万816mの成層圏に到達したことを発表した。

写真:暗い空に浮かぶ気球とキャビン。下方には地球が写り、ゆるく湾曲した地平線が光を帯びている。
2万816m到達時の窓外の景色

 2022年2月に福島で係留飛行試験を行って以降、岩谷技研は北海道内を中心に、徐々に高度を上げながら飛行試験を実施してきた。今回は、今後商業運航で使用する機体と同型の2人乗り与圧キャビンを使用して、初めて最高高度2万816mの成層圏に到達した。

 商業運航本番では飛行高度1万8,000~2万5,000mの運航を想定しており、今回同高度帯に到達したことで、気球による「宇宙遊覧フライト」の商業運航が実現に近づいた。

 同社は、今回の飛行試験で判明した課題点について各種検証を行い、本番飛行へ向けて引き続き飛行試験、開発を進めるとしている。

飛行試験概要

 2024年7月17日、今後宇宙遊覧フライトで使用するものと同型のキャビンを使用して、生命維持装置の成層圏低圧環境下での運用試験および自社気球による高度2万m付近の高度帯への到達実証を行った。2人乗りキャビンにパイロット1人が搭乗して実施した。

離陸地点北海道士幌町
離陸時刻午前2時40分
着陸地点北海道帯広市
着陸時刻午前7時36分
飛行距離41km
飛行時間4時間56分
到達高度2万816m

 今後の課題は、気象条件や電波状況に合わせた各種航行支援システムの運用、船内結露の解消(視認性の向上)、気象条件に合わせた着陸コントロール技術の向上の3点。

写真:気球側からキャビンを写した様子。下には雲が広がっている。
成層圏を飛行する岩谷技研製キャビン「T-10 EARTHER」(T-10タイプは全て2人乗りキャビン)
写真:キャビンの中のパイロット。
船内で航路を確認するパイロット