2023年4月20日、東亜建設工業は、水中ドローンに搭載したカメラ映像を用いて3Dモデルを作成する技術を岸壁の点検に試験的に導入し、実用性の検証を実施したことを発表した。

 従来の港湾構造物の維持管理では、主に潜水士による潜水調査が用いられてきたが、コストや時間がかかる上、劣化箇所の局所的な写真しか撮影できないため全体の把握が困難という課題があった。

 今回の試みでは、多少濁りのある海域でもオルソ画像を生成でき、対象物の寸法等が計測できることを確認した。同技術を用いることで、広範囲の水中構造物等の調査を容易に高精度かつ低コストで行うことができるという。また、水中ドローンによる撮影写真のほか、潜水士による撮影や水上からロッドに取り付けたカメラを水中に下ろして撮影した写真でも、高品質な水中の3Dモデルを作成できるとしている。

 同技術により、港湾構造物の破損・変形・亀裂の有無、水生生物の付着状況などをより正確に把握でき、定期的な調査に用いることで構造物の経時変化を確認できることから、港湾構造物の維持管理への活用が期待される。

 同社は今後、写真撮影を行っている水中ドローンの自動制御、後処理で行っている解析作業のリアルタイム化、水中ドローンに搭載した非接触センサーによる岸壁の劣化状態の計測などに取り組むとしている。

陽極部の3Dモデル
オルソ画像
水中ドローン「BlueROV2オクトパス」